Call your men off before blood is spilled! ってどんな意味?【句動詞表現#47】
どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
今回は、句動詞call offについて。
call offといえば「・・・を中止する」の意で有名ですが、 問題は類似表現であるput off(「・・・を延期する」)との区別でしょう。put offと同じ方位詞offが使われているのに、なぜcall offは「延期する」という意味にならないのでしょうか?
今日はそこにスポットを当てて表現を眺めていきたいと思います。
Now, let's get started!
- 初めての方へ
- callとoffのコアイメージは?
- 1.Please call off the guard dog.
- 2.Call your men off before blood is spilled!
- 3. Police called off the search for the Hollywood actor.
- 編集後記
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
callとoffのコアイメージは?
callのコアイメージ
callのコアイメージはズバリ「大声で叫ぶ」です。
「電話する」のイメージが強いこの語。歴史をふりかえると電話というものが考案・発明されたのが19世紀中頃から後半にかけてといわれていますが、『英語語義語源辞典』によれば、現代英語callの起源とされる単語自体は古英語(5世紀~11世紀中頃)の時代から使われていたようです。
したがって、「電話する」という意味は近代になってからcallの意味に追加されたことは明白ですね。つまり、「人に電話する」というのは「人を呼び出す」という意味から派生したに過ぎないと考えられます。
さらに、callは単に「呼ぶ」というよりも「呼びかける」という日本語の方がしっくりきます。というのは、日本語で「呼ぶ」といった場合、名前を読んで話者のいる場所に来させるという意味合いですが、英語のcallがその意味だけではないことは次のような例文から明らかだからです。
例)I called to him to close the door.
「ドアを閉めるように彼に呼びかけた[大声で言った]」
こういったところからも、callのコアイメージが「大声で叫ぶ」であることがよく分かりますね。
offのコアイメージ
offのコアイメージは「離れて」です。
語源的には”of”から派生したということを知っておくと便利です。その証拠にofには「分離のof」(例: The man robbed John of his watch.)と言われるものがありますよね。同様にoffも「分離」の意味で用いられるので、その意味を引き継いでいると言えます。
例)He laid off 30 workers.
「彼は30人の労働者を一時解雇した」
さらに、電源が離れれば、それは電気が「切れる」(turn off)ことを表します。催しが開催という状態から途中で離れれば、それは「中止する」(call off)ことです。また、本来の予定から離れれば、それは「延期する」(put off)ことになります。
offは最終的に、何かが離れて行った結果として「完全に」分離するというイメージを持つようになります。これが「完全に、すっかり」(ex. pay off the debts)という完了の意味です。過去記事に出てきたup・out・overにもこの完了の意味がありましたね。併せて確認しておきましょう。
1.Please call off the guard dog.
意味:番犬をあっちへやって
目的語パターン:入れ替え可能型
※例文の出典:『Eゲイト英和辞典』
語彙解説
このcall offは「(犬など)を呼んで去らせる」の意。
call offの使い方としてはマイナーな用法ですが、これこそが句動詞call offの根本の意味です。
ちなみに、この意味を載せていない辞書もあるので、参考までに記載のあることが確認できるものを以下に挙げておきます。
『Eゲイト英和辞典』、『プログレッシブ英和中辞典』、『ジーニアス英和辞典』(←「大辞典」ではない普通の方のジーニアス)
意味の捉え方・覚え方
意味の捉え方としては、いつものようにSVOCの第5文型で考えると分かりやすいです。ここでは、語順を
Please call the guard dog off.
と変えれば、「the guard dogをcallしてoffさせる」または「the guard dogをcallした結果、the guard dogがoffする」ということだと理解できます。
ここでのcallという単語は、callのコアイメージに関しての説明でも言ったように、単に「呼ぶ」というよりも「呼びかける」という日本語の方がしっくりきます。
また、offに関しては「離れて」というコアイメージそのもので、次の例文でのoffと同じです。
例)She went off without a word.
「彼女は無言で立ち去った」
以上のような点を考慮すると、見出し例文は、
番犬に呼びかけて、その場から離れさせてください
というように理解できます。
余談ですが、犬に対するしつけを英語でする場合に、「降りろ」または「離れろ」の意味で"Off."と言うようです。このイメージで覚えてもいいかもしれませんね^^
2.Call your men off before blood is spilled!
意味:死人が出る前に、攻撃を中止させろ!
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
これが記事タイトル。このcall offは「(犬・人など)に攻撃・追跡などをやめさせる」の意。
menは「(男の)部下」のことで、通例複数形で用いられます。また、before blood is spilledは「①死人が出る ②問題が発生する」という意味。
意味の捉え方・覚え方
これは、意味用法1からの派生と考えられます。
さきの例文1の状況を使って考えてみましょう。
去らせる・離れさせる対象であるthe guard dogが、例えば不審者に対して追い回す・噛み付くなどの行動をしている最中に、その場から離れるよう飼い主が命令したのであれば、それはthe guard dogに対してその行動を中止させたことになりますよね。
一般的に言うならこうなります。
「とある行動をしている人や動物に対して、その場から離れるように言う」
これが要するに
「人や動物に対して、今行っている行為をやめさせる」
ということなのです。
ただし、行動であれば何でも良いわけではなく、大抵は攻撃・追跡などの攻撃的な行動に限定されています。
以上が、 「(犬・人など)に攻撃・追跡などをやめさせる」の意味になる経緯だと推測できます。
他の用例
上記の説明だと物騒な場面で用いる表現のように思われますが、実際にはそうではない状況でも用いられるようです。以下は『オーレックス英和辞典』からの引用。
Center fielder Hamilton called off Murphy.
(野球で)センターのハミルトンがマーフィーを制止し(て自分でフライを捕球し)た
出典:『オーレックス英和辞典(第2版)』
飛んでいるボールを追いかけているわけですから、一応これも上記の「追跡」行動に含まれていますね。
3. Police called off the search for the Hollywood actor.
意味:警察はそのハリウッド俳優の捜索を打ち切った
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
このcall offは「(行事など)を中止する、(約束など)を取りやめる」の意。皆さんご存知の代表的な用法ですね。
2つ注意点があります。一つは「行事などの予定日前に中止にする」という意味でも「行事などが開始されてから途中で中止する」という意味でも用いられる点。
もう一つは、行事や約束など他人が関係する出来事に対して用いるのが通常の使い方だという点です。つまり、他人が全く関係しないような個人的な用事を中止する場合には普通用いません。
意味の捉え方・覚え方
これは、用例2からの派生と考えられます。
用例2ではやめさせる対象は攻撃・追跡などの一部の行動でしたよね。この中の「やめさせる」という意味合いだけが取り出され拡大解釈された結果、やめさせる対象が行事などの出来事に変化したのがこの用例3です。これが「中止する、取りやめる」という意味が出てくる経緯でしょう。
ここで冒頭の話に繋がってきます。
put offはoffのコアイメージそのままに「予定日を離して別の日に配置する」から「延期する」という意味になると考えられます。これは割と分かりやすい意味ですね。
一方で、同じ方位詞offがありながらcall offが「延期する」という意味にならないのは、off本来の意味である「離れて」ではなく、さきの用例2の「やめさせる」という比喩的な意味を引き継いでいるからなのです。
編集後記
今回はいかがだったでしょうか。
学校の教材などでは、call offの代表的な意味である「・・・を中止する」という用法しか言及されていないことが多いですよね。
参考書では、覚える効率を上げるために代表的な意味だけを記述するのでしょうが、肝心なところが分からないと意味はたった一つでも逆に覚えにくいってことありませんか?今日の句動詞はまさしくその好例だったのではないでしょうか。
そんなときは、一度立ち止まり、辞書を開いてゆっくり考えると意味同士のつながりが見えてきます。
"Haste makes waste."(「急がば回れ」)ですね^^
では、また。
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