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熟語・句動詞攻略のカギ! 比喩の3類型って?④~換喩(メトニミー)の実践編~【英語学習のヒント#9】

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皆さん、こんばんは。ねこらいたーです(= ̄ω ̄=) 
 

前回予告した通り、今回から再び比喩の3類型の話に戻りまして、今日は、メトニミーの基本編にてご紹介した「時間的隣接」によるメトニミーを使って、複数の意味を持つ表現の整理のやり方をカンタンにお見せしようと思います。 

 

殆ど注目されていないようですが、この「時間的隣接」によるメトニミーという観点は、句動詞のように動詞を含んでいる口語表現の意味整理で特に力を発揮します。かなり便利なのでオススメですよ^^

 

サンプルとして今回扱うのは、句動詞”come by~”です。

 

では、本編へどうぞ。

 

 

 

「『時間的隣接』に基づくメトニミー」のおさらい 

そもそも換喩(メトニミー)というのは、一般的に物事の「隣接性」に基づいた比喩とされています。もう少しカンタンに言うと、関連性が強いもの同士の間で成立する比喩のことですね。

 

そして今回のメインとなる「時間的隣接」に基づくメトニミーというのは、

 

連続する行動(または状況)の一部を切り取って言うことで、別の行動(または状況)を間接的に表す比喩

 

のことで、これには以下の2パターンがあります。

 

先行する行動(または状況)後続する別の行動(または状況)を表す

または

後続する行動(または状況)先行する別の行動(または状況)を表す

  

日本語の例でいえば、

 

1)箸をつける

 

が一例として挙られます。

 

これを文字通りに解釈すれば「箸を接触させる」の意ですが、実際には「料理などを食べる」の意味になるのが普通ですよね。

 

ここで、料理を食べるときの行動(あるいは状況)を思い出してみると、

 

行動①:食べ物に箸を接触させる     

行動②:(食べ物を箸で掴み)実際に食べる 

 

といった時系列があることが分かると思いますが、このような関係性に基づいた比喩が時間的隣接によるメトニミーです。①は「箸をつける」という表現の文字通りの意味なのに対し、②は同じ表現が間接的に表す意味となっていることが分かると思います。

 

特にこの場合は、先ほど説明した「先行する行動(または状況)後続する別の行動(または状況)を表す」のパターンになりますね。

 

 以上、おさらいでした。

 

メトニミーの基本的な考え方や「時間的隣接」のメトニミーについてもっと知りたいという方は、こちらをご覧ください↓

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

また、今回の内容とは直接的な関係はありませんが、以下の記事では「全体と部分」に基づくメトニミーをご紹介しています。よければこちらもどうぞ↓

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

メトニミーで整理する際のポイント2つ!

ポイント1:必ず基本義をスタート地点にしよう

ご存知のように、英語の口語表現においては使用頻度の高い意味用法とそうでないものとがありますよね。確かに頻出の用法は気になりますが、だからといって、何となく使用頻度の高い意味をスタート地点に据えても他の意味とのつながりは見えにくくなってしまうと思います。

 

というのも、用法を複数持つ表現の場合、よく使う用法というのは大本の意味から派生したもの、例えるなら木の枝葉の部分であることが多いからです。このような枝葉の部分からその木全体を説明するのはなかなか難しいですよね。

 

ではどうするかというと、過去の記事でもご紹介してきたように、文字通りの意味がその表現の基本義(=上の例でいうところの「木の根幹」)なので、まずはこの基本義をスタート地点においてみてください

 

ポイント2:歴史的意味配列の辞典を活用しよう

意味が複数ある表現を整理する時は、歴史的順序に基づいた意味配列をしている辞典(つまり、最も古い意味用法を先頭にして順番に掲載している辞典)を参考にするとまとめやすくなります。

 

具体的には、かの有名な『オックスフォード英語辞典(OED)』(※1)やMerriam-Webster Dictionaryなどがこの歴史的順序による配列ですね。

 

お手軽なのは無料オンライン版がある後者なので、今回はこちらを使います。

 

www.merriam-webster.com

 

さて、以上の2点を押さえた上で整理すると、樹形図のような「意味マップ」を作ることができ、視覚的にも覚えやすくなります。

 

では、次の項目で実際にやってみましょう。

 

※1 OEDとは?

多くの方がご存知かと思いますが念のため。OED(=The Oxford English Dictionary)は世界最大の英英辞典で、全20巻にもなります。まさに英単語の百科事典といえる代物です。名前が似ているODE(=Oxford Dictionary of English)は全くの別物ですのでご注意ください。

 

 

実際に英語表現を整理してみよう

ここでは例として句動詞”come by~”を取上げてみます。

 

まずは例文です。

 

2)The watch is hard to come by.

  「その腕時計は入手困難だ」

 

ここでの”come by~”は「~を手に入れる」の意味です。一見すると、どうしてこの意味になるのか分かりにくいですが 、メトニミーの観点で考えれば意外とすんなり分かります。

 

ちなみにですが、あまり話が煩雑になるのも嫌なので、ここで扱う意味用法はMerriam-Webster Dictionaryに倣って、上記の「~を手に入れる」と「立ち寄る」の2つに絞ってみます。

 

基本義を確認しよう

では、文字通りの意味(=基本義)を確認しましょう。

 

”come”は「来る」または「(意識の向いている場所に)行く」の意で、”by”は「~のそばに」が基本義ですね。したがって、”come by~”は「~のそばに来る[行く]」となります。

 

次にスタート地点となる文を作ってみましょう。例えば、

 

3)He came by the watch.(※2)

 「彼はその腕時計のそばに来た[行った]」

 

のようになるかと思います。

 

※2 ”come by~”の実際の使用場面

「~を手に入れる」という意味での”come by~”は実際には2)のように”S is hard[easy] to come by”という形で用いるのが一般的とされています。その意味では3)は多少不自然かもしれません。しかし文法的には特に問題ないですし、また”come by~”の根幹にあるのは明らかにこのような文であるので、あえて3)をスタート地点にしてあります。

 

2)と3)の関係を考えよう

ここで2)の”come by~”と3)の”come by~”はどういう関係にあるか考えてみると、これらの間には「時間的隣接」によるメトニミーが働いていることが分かるかと思います。

 

というのは、何かを自分で直接手に入れる場合、まずその「何か」に対して(物理的に)接近する必要がありますよね。3)の場合でいえば、お目当ての腕時計が置いてありそうな時計店を通りかかるといった状況が当てはまります。

 

そして、試しに入店してみたら探していた腕時計があったとなれば、それは見事手に入れたことになりますね。

 

つまり、もともと「~のそばに来る[行く]」という物理的な接近を意味する表現(=例文)の”come by~”)が、それに後続する行動である「~を手に入れる」の意味(例文)の”come by~”)を間接的に表すようになった、と解釈できるわけです(以下参照)。

 

行動①:~のそばに来る[行く] (=”come by~”の文字通りの意味)

行動②:~を手に入れる (=メトニミーによって表される意味)

 

一般的な言い方をすれば、これは先行する行動(または状況)後続する別の行動(または状況)を表すパターンとなりますね。

 

「立ち寄る」の意味用法

最後は「立ち寄る」という用法についてです。

 

4)John came by to see her.

  「ジョンは彼女に会いに立ち寄った」

 

これについてはさっきと同じ「時間的隣接」によるメトニミーが働いていることはすぐ分かりますね。つまり、

 

行動①:そばにやってくる (=文字通りの意味)

行動②:立ち寄る (=メトニミーによって表される意味)

 

という時系列に基づいているわけです。したがって、これも先行する行動(または状況)後続する別の行動(または状況)を表すパターンといえます。 

 

さらにいえば、この自動詞用法は下の5)のように元々”by”の直後にあった目的語を省略した用法と考えることができます。

 

5)John came by the house to see her.

  「ジョンは彼女に会いに立ち寄った」

 

実際、このような使い方をしている例はいくらでも見つかります。

 

6)I’ll come by the house and get my stuff later, OK?(LDOCE

7)She came by the house.(OALD

※注:赤い太字は筆者によるもの

 

また、一般的に見ても、他動詞の目的語省略によって自動詞用法が生まれるパターンは普通にあります。

 

8)leave a place for London       ⇒ leave for London

9)ask somebody for money      ⇒ ask for money

10)adapt oneself to a new life ⇒ adapt to a new life 

 

意味マップを作ってみよう

以上をもとにして簡易的に意味マップを作ってみると、下のようなものが出来上がります。スペース的に余裕があれば各意味のところにごくカンタンな例文も載せておくとよいですね。

come by 意味マップ イメージ

図1 ”come by~”の意味マップ例1

また、あとで見返すときに意味同士がどのような関係か分からなくなりそうな場合は、次のように余白に書き込んでおけばいいと思います。

come by 意味マップ イメージ2

図2 ”come by~”の意味マップ例2

ここでは根本的な比喩の考えを書いたのでこのように長くなってますが、実際の作業としては上のような意味マップを書くだけです。あとはこれを続けていけば、よく分からない口語表現(特に、句動詞などの動詞を含む表現)は結構減るのではないでしょうか。

 

もし時間的隣接によるメトニミーでは説明できない場合は、以前ご紹介した「隠喩(メタファー)」か次回やる予定の「提喩(シネクドキ)」を疑ってみてください。

 

というのも、実際に整理してみると分かりますが「口語表現のうち、実際の意味が字面通りの意味から乖離しているもの」はこれら3つの比喩のうちのどれかであることが殆どです。なのでその点は覚えておくと助けになると思います。

 

 

編集後記

今回はいかがだったでしょうか。

 

本当はあと1つか2つほど整理例をお見せするつもりだったのですが、思いのほか字数を食ってしまったため、それらについては別の機会にご紹介しようと思います。

 

ところで、話は大きく変わりのですが・・・。

 

ここ最近のはてブ界隈では、怪しいサイトへの誘導を目的にしたスパムアカウントから、自分のブクマをお気に入りされる事例が増えてきているようで、実は私のブクマもその類のアカウントからお気に入りされています・・・(困惑)。

 

今のところ静観しているのですが、地味に増えているんですよねぇ。運営さんは気づいているのでしょうか。これ以上湧いてくるようなら問い合わせしないとですかね・・・。

 

しかも、古いアカウントを乗っ取っている可能性もありそうなので、皆さんもお気を付け下さい。

 

では、また。

 

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