I feel they're always trying to push me around. ってどんな意味?【句動詞表現#48】
こんばんは、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
今回のテーマはpush around。意味はたった1つしかないのですが、そのコアイメージに関しては拾うべきポイントが結構あります。
記事タイトルのヒントについては、ジャイアン・スネ夫とのび太との関係を思い浮かべると分かるかもしれません。
では始めていきます。
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
pushとaroundのコアイメージは?
pushのコアイメージ
pushコアイメージは「力を加えて動かす」です。上の図では、赤い矢印の方向に力を加えた結果、正方形の物体が点線部まで移動させられます。
動かす対象は物体でも、人に向かって動かすということになれば、それは「・・・を押しつける」(例:Don't push your ideas on me.)という意味になります。
ここまでは動かす対象は物体ですが、この動かす対象が人になれば、それは「強制的に・・・させる」(例:push him to go there)という意味になります。
また、その対象が物事・行為になれば、それは「・・・を(無理やり)推し進める」(例:push trade with India)ということになります。この中で特に、前進するという行為を無理やり推し進めれば「周囲の人や物を押しのけて進む、突き進む」(例:push against the wind)となります。
このように、「力を加えてものを動かす」という文字通りの意味から派生した用法でのpushには「無理やりする」というニュアンスが含まれていることが多いです。
aroundのコアイメージ
aroundのコアイメージは「周りをぐるりと回って」です。例えば、以下の例文のような場合がこのコアイメージそのものです。
例)The moon moves around the earth.
「月は地球を中心にして公転している」
このようにaroundの根本は周回運動を意味するのですが、そのようにぐるぐる回る様子から「周囲全体」(例:They're standing around the grave. 「彼らは墓を囲むようにして立っている」)も意味するようになります。つまり、「周囲に、周りに」という状態を表しているわけです。
このイメージがさらに進むと、ある物の周囲ではなく、その物の内部全体を指すようになります。これが「・・・のあちこちに、・・・じゅうに」(例:walk around the room 「部屋の中を歩きまわる」)の意味ですね。
この例が「部屋の周りを歩きまわる」の意味にはならないことは、部屋というものが壁を隔てて他の部屋と繋がっているためにその周囲をぐるりと一周することはできないという常識から判断できます。
ところで、aroundとよく似たものにaboutがあります。
aroundはさきほどみたように、「ぐるりと回って」という動作を表すのがその根本で、そこから「周囲に」という状態を表すようになりました。一方、このaboutの根本は「(漠然と)・・・の辺りに」という状態を表します。例えば、上で挙げた
They're standing around the grave.
という表現は、墓を中心にして円になるように立っているような統一感のあるニュアンスですが(下図参照)、
They're standing about the grave.
というようにaboutに変えると、必ずしも円になるように立っているわけではなく、むしろ個々がバラバラに墓の周辺に立っているかのような統一感のないニュアンスになります(下図参照)。 したがって、その訳は「彼らは墓の辺りに立っている」といった感じがそのニュアンスに近いでしょう。
また、イギリス英語とアメリカ英語で両者の使用傾向に違いがあります。aboutはイギリス英語で使われる傾向にあり、逆にaroundはアメリカ英語で使用される傾向にあるようです。
1.I feel they're always trying to push me around.
意味:彼らはいつも私をこき使おうとしてくる気がする
目的語:入れ替え可能型
語彙解説
push aroundとは「・・・をこき使う、顎で使う」の意でインフォーマル表現。
イギリス英語ではpush aboutとも言いますが、こちらはスラングと見なされるようです。また、このpush aboutは「・・・をこき使う、顎で使う」のほかに「・・・をいじめる」の意味も持ちます。これは、上記の「人をこき使う」様子から派生したものでしょう。こき使うというのは一種のいじめだということですね。
意味の捉え方・覚え方
いつものようにSVOCの第5文型と見なすと分かりやすくなります。
また、この句動詞では、aroundのあとに「こき使う側の人物」が隠れていると考えればいいでしょう。今回の例文のケースではthemがこれに当たりますね。なので、意味構造を図示すると以下のようになります。
いつもと同じで、赤枠が動作の結果を表します。つまり、
彼らが私に対して力を加えて動かした結果、私は彼らの周りを回る
ということです。
この場合の「力を加える」というのは、背中を押して無理にやらせるイメージか、言葉で脅して無理にやらせるイメージをもてばOKでしょう。
また「彼らの周りを回る」というのは、彼らから押し付けられた用事をこなすためにバタバタと走り回っているというイメージです。いわゆる「パシリ」もここに含まれるのではないでしょうか。
このように考えるとpush aroundというのはなかなか上手い表現のように思えますね。
編集後記
今回はいかがだったでしょうか。
身近にpush aroundしてくる人物がいれば、例文にして英語学習に役立ってもらいましょう。それで、もうこの句動詞は忘れないはずです。
ではまた。
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