She managed to bring off the deal. ってどんな意味? 【句動詞表現#45】
皆さんこんばんは、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
予告通り、今回は軽めの表現です。
タイトルの英文のヒントを出すとすれば、manageが使われている点でしょうか。
では始めますね。
- 初めての方へ
- bringとoffのコアイメージは?
- 1.They brought off some passengers on the downed plane.
- 2.She managed to bring off the deal.
- 編集後記
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
bringとoffのコアイメージは?
bringのコアイメージ
bringのコアイメージは「意識の中心へ移動させる」です。意識の中心というのは、話者や聞き手がいる場所あるいは話題にしている場所のことを指します。
以前【句動詞表現#36】などで扱ったcomeのコアイメージが「意識の中心に近づく」であることを思い出してください。
実はこのbringはcomeの意味をちょうど他動詞化した意味になっているんです。この点は以下のような表現でも確認できます。
例1)~ come home to 人
「~が(人)に痛烈に感じられる」
⇒ bring ~ home to 人
「~を(人)に痛烈に感じさせる」
例2)~ come into being
「~が生じる」
⇒ bring ~ into being
「~を生じさせる」
例3)~ come out
「~が明らかになる」
⇒ bring ~ out
「~を明らかにする」
offのコアイメージ
offのコアイメージは「離れて」です。
語源的には”of”から派生したということを知っておくと便利です。その証拠にofには「分離のof」(例: The man robbed John of his watch.)と言われるものがありますよね。同様にoffも「分離」の意味で用いられるので、その意味を引き継いでいると言えます。
例)He laid off 30 workers.
「彼は30人の労働者を一時解雇した」
さらに、電源が離れれば、それは電気が「切れる」(turn off)ことを表します。催しが開催という状態から途中で離れれば、それは「中止する」(call off)ことです。また、本来の予定から離れれば、それは「延期する」(put off)ことになります。
offは最終的に、何かが離れて行った結果として「完全に」分離するというイメージを持つようになります。これが「完全に、すっかり」(ex. pay off the debts)という完了の意味です。過去記事に出てきたup・out・overにもこの完了の意味がありましたね。併せて確認しておきましょう。
1.They brought off some passengers on the downed plane.
意味:彼らは墜落機の乗客を何人か救助した
目的語パターン: 入れ替え可能型
語彙解説
このbring offは「(難破船などから)・・・を救助する」の意。また、downedは「墜落した」という意味です。
見出し例文のoffは副詞用法ですが、次のように前置詞用法としても使うことができます。ただしこの使い方は、現在ではマイナーなようです。
例)They brought some passengers off the downed plane.
意味の捉え方・覚え方
このbring offの大元は、 すぐ上にあるようなoffが前置詞として用いられている文です。
では、さきの例文
例)They brought some passengers off the downed plane.
を使ってこの点を軽く説明しておきます。
この例文では、下図のように「乗客を移動させた結果、その乗客が墜落機から離れる(=off)する」というように目的語とoff以下との間に主語述語関係があり、またその主語述語関係はbringという行為の結果を表したものでもあります。
元々はbring offのoff以下には名詞があったのですが、状況からその部分は推測できるなどの理由で省かれてoffは副詞と見なされるようになったのです。
以上から分かりますように、「人や物を移動させて、危険なものから離す」からこそ「救助する」という意味になるというわけですね。
2.She managed to bring off the deal.
意味 :彼女はどうにかその取引を成功させた
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
このbring offは「(困難な事など)をどうにか成功させる」の意。
また、これはインフォーマルな表現です。したがって公式な文書などでは使用を避けるべきでしょう。
意味の捉え方・覚え方
これは、用例1からの比喩でしょう。
どういうことかというと、「救助する」というのは本来は”困難なこと”です。それをやってのけるということは、ある意味で”成功した”ということもできますよね。
このようなイメージを用例1から取出し拡大解釈したのが、この用例2というわけです。
「用例2から用例1が生まれた可能性はないの?」という疑問もあるかもしれませんが、その可能性は次の2つから考えにくいと言えます。
(1)句動詞の意味の拡大は、文字通りの意味に近い方から遠い方へ行われる傾向にある
(2)最初にこの句動詞bring offが用いられたのは用例1の方だという記載が、メリアム・ウェブスター英英辞典にある(以下参照)
comeとの関連
bringのコアイメージところでも言いましたように、comeとbringは意味的に自動詞・他動詞という対応関係にあることが多いです。そしてこの用例2にも、対応するcomeの表現があります。それが以下の表現。
come off
「(計画など)が成功する」(インフォーマルな表現)
例) This plan came off perfectly.
「この計画は完璧に成功した」
※今回のbrin offに対応する意味が上記のものというだけであり、このcome offには他にも多くの意味がありますので注意
編集後記
今回はいかがだったでしょうか。
種が分かってしまえば大したことのない表現でしたね。
個人的には、いつもこのくらいの分量であってほしいと思ってます・・・(笑)。
では、また。
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