どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
前回のcome acrossの続きとなります。
記事タイトルのヒントは「infoを持ってきて何をするのか?」。
では、始めていきますね。
- 初めての方へ
- comeとacrossのコアイメージ / 例文1.~2.について
- 3.The idea came across my mind that I'd been here before.
- 4.He came across with the info about this place.
- 5.Her explanation came across well.
- 6.Jessica comes across as self-devoted.
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
comeとacrossのコアイメージ / 例文1.~2.について
前回の記事(【句動詞表現#36】)を参照ください。
3.The idea came across my mind that I'd been here before.
意味:以前ここに来たことがあるな。私はふとそう思った
目的語パターン:後置型
語彙解説
このcome acrossは「(考えなど)が(心)に浮かぶ」の意。
また、thatはいわゆる同格のthatで、"I'd been hare before"は文頭の”The idea”の内容を表しています。
意味の捉え方・覚え方
これは日本語の「ある考えがよぎる」と同じ感覚と見なしていいでしょう。考えや気づきというものは「心」という空間を横切って通過していくものだ、という感覚ですね。
ではどこから派生した意味なのかといいますと、前回扱った例文2.の
I came across Bob at the library yesterday.
で見た「偶然(人・物)に出くわす、見つける」という意味用法からでしょう。
というのは、考えが心に浮かぶという場合、それらは「浮かべるぞ、浮かべるぞ」と意図的にできることではないからです。考えが「ふと」浮かぶのですから、それは偶然の産物ですよね。
つまり、この例文3.の意味用法は例文2.の意味用法に含まれている「偶然性」に注目した拡大解釈なのです。
他の用例
次のように、acrossの直後にくる目的語がmindではない場合もあります。
例)A weird thought came across me.
「ある妙な考えがふと浮かんだ」
4.He came across with the info about this place.
意味:彼は、この場所について教えてくれた
目的語パターン:後置型
語彙解説
これが記事タイトル。come across withとは「(必要とされている或いは期待されているもの)を与える、提供する」 の意で、特に金銭や情報に関する語が目的語になることが多いようです。また、英米どちらでも使われますがアメリカ英語ではスラング扱いです。
意味の捉え方・覚え方
これはwithを「~を携えて」の意味だと見なすのが一番分かりやすいです。つまり、「必要とされているものを携えて来る[行く]」となります。
また、「与える、提供する」ということなので、与えられたものを受け取る相手がいないといけませんよね。したがって、英文には表れていませんが、「与える相手の所に来る[行く]」ということが含意されています。あとは、acrossの直後には、提供する人物が相手の所に行くまでに通過する場所が省かれていることは明白ですね。
以上をまとめますと、この意味用法の元の形は以下のようなものだったと推測できます。
come across a place with something to somebody
この赤字の部分は文脈上言わなくても分かるので消失したと考えられます。そしてその結果できたのがcome across with somethingというわけです。
では、なぜ人のところに物を持っていくという行為が「その人にものを与える」という意味になるのでしょうか?
これは、換喩(メトニミー、metonymy)と言って、「物事の隣接性」に基づいた比喩が働いているのが原因です。
例えば、文章などを書くことを「筆を執る」「ペンを執る」といいますよね。これは、本当に言いたいこと(この場合は、文章を書くこと)の前後にある動作を代わりに言うことで、その本当に言いたいことを遠回しに表現しているパターンです。こういった表現は英語にも意外とあります。おそらく、このような比喩的発想は日本語も英語も変わらないということなのでしょう。
この換喩(メトニミー、metonymy)については以下の記事で詳しく扱っていますので、よければご覧ください。
5.Her explanation came across well.
意味:彼女の説明は分かり易かった
目的語パターン:不要型
語彙解説
このcome acrossは「①(考え・意見・感情など)が理解される、通じる ②(考え・感情などが)表れる、表現されている」の意で、例文5.は①の意味です。多くの場合、副詞(句)あるいは前置詞句を伴うようです。
意味の捉え方・覚え方
前回の記事(【句動詞表現#36】)でもcome acrossとget acrossの類似性を指摘しましたが、この意味用法においても両者の意味はよく似ています。過去記事から該当箇所を引用しておきましょう。
The words didn't get across to him.
意味:その言葉は彼には通じなかった
目的語パターン:後置型
※get acrossの詳しい説明は以下を参照ください。
この引用文に対する説明では、
John only just got across to the island.
意味:ジョンは、やっとの思いでその島に渡った
のような文字通りの意味が比喩的に捉えられ拡大解釈されたと考えて、次のような説明をしました。
こちらはメタファー(隠喩)になっています。つまり、人や物など具体的なものが川・道など物理的な場所を渡るという意味から、言葉・考えなど抽象的なものが人と人の間を渡って相手まで届くという意味へと発展したと考えれば分かりやすいです。
今回の記事の例文5.でもほぼ同じ考え方で捉えると良いのではないでしょうか。
つまり見出し例文は、
Her explanation came across a place well to somebody.
という形が話者の意識の根底にあると推測できるでしょう。つまり、
「彼の説明がある場所を渡って[横切って]上手く誰かのもとに行った」⇒(赤字部分が消失)⇒「彼の説明が上手く伝わった」⇒「彼の説明は分かり易かった」
という流れで理解できると思います。
ちなみに「言葉などが相手に通じる、理解される」 というときにacrossが用いられるのは、人と人との理解の間には隔たりがあるという感覚の表れかもしれません。だとすれば、その隔たりを渡って相手に届くのが「他人に理解される」という英語の発想はなかなか上手いなぁと思います。
他の用例
come acrossとともによく使われる副詞にはwellの他にclearly, strongly, reallyなどがあります。またacross以下に前置詞句も現れます。
例)The emotions in his words came across clearly to them.
「彼の言葉にこもった幾重もの感情は、彼らにもはっきりと伝わってきた」
例)His fear came across in his voice.
「声の感じから、彼が怯えていることが伝わってきた」
6.Jessica comes across as self-devoted.
意味:ジェシカは献身的だと思われている
目的語パターン:後置型
語彙解説
come across asとは「人に・・・という印象を与える、人に・・・と思われる」の意。as以下には名詞・動名詞・形容詞などが入ります。
また、具体的に誰に対して印象を与えるのか言いたいときには、
Jessica comes across to everybody as self-devoted.
または
Jessica comes across as self-devoted to everybody.
というように、真ん中あるいは文末に「to+人」をおきます。
意味の捉え方・覚え方
これは、例文5.の意味用法の派生と考えればいいでしょう。つまり、
「・・・として理解される」⇒「・・・という印象を与える」
という流れで拡大解釈されたものだと感がられます。
他の用例
この意味用法では他に、as以下がないパターンもあります。その場合には、well, betterなどの評価を示す副詞とともに用いるか、或いはHow...で始まる疑問文で使うかのどちらかなので注意が必要です。
例)Henry came across very well.
「ヘンリーの印象はすごく良かった」
例)When you first met me, how did I come across?
「最初会ったとき、僕ってどんな印象だった?」
さて、二回にわたってcome acrossを見てきましたが、いかがだったでしょうか。
この表現は頻度的には割とよく使うようですので、よく習熟しておきたいところですね。
では、また。
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