気ままに英語あそび

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Traffic is backed up for 5 miles. ってどんな意味?【句動詞表現#20】

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どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=) 

 

今回は日本語にもなっている句動詞back upについて。

 

意味的に考えて頻出の表現だと思われますので、要チェックですよ! 

 

 

初めての方へ

当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。

 

また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。

 

①:割り込み型

動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません

 

例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」

 

②:後置型

必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン

 

例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」

例2)get up to London「ロンドンに行く」

 

③:後置型

方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”後置型」としてあります。

 

例)put on weight 「体重が増える」

 

④:入れ替え可能型

文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン

 

例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」

 

⑤:不要型

いわゆる「自動詞+副詞」のパターンこのパターンでは、意味を成立させるのに的語を必要としません

 

例)break up「(関係・友情などが)終わる」

 

【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

backとupのコアイメージは?

backのコアイメージ

今回登場するbackは動詞用法ですが、元々は人や動物の背中を意味する名詞でした。そこから形容詞用法や副詞用法が生まれ、最後に動詞としても用いられるようになったと言われています。

 

しかし、どの用法にしてもそのコアイメージは共通で「後ろ」と捉えておけばOKです。以下の図のように対義語のfrontとセットで捉えておきましょう。

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 図から分かるように、backは上図の立方体の後方だけでなく、その立方体自体の後側も指すことができますこの点はfrontについても同じで、立方体の前方だけでなく、その立法体自体の前側も指すことができます。

 

このようなイメージのあるbackを動詞用法で扱うわけですから、「後にする」つまり「後退させる」という意味になるのは自然なことですよね。

 

upのコアイメージ

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【句動詞表現#1】でご紹介したように、方位詞UPのコアイメージは「上方に」です。

 

しかし、いつまでも上昇するなんてことは稀です。例えば、どんなに勢いのある成長でもいつかは頭打ちになるように、ふつう上昇には終わりがありますよね。終わりということは、要するに何かが停止することです。

 

例えば、次の表現がこのイメージに該当します。

 

例1)The red car pulled up. 「その赤い車は停車した」

例2)The accident held up traffic. 「事故で交通がマヒした」

例3)He couldn't dam up his anger. 「彼は怒りを抑えられなかった」

 

また、上昇が終わるということは時として完璧であることも意味しますよね。ここから、方向詞upは「完全に、完結した状態に」といったニュアンスも含むようになりました。

 

例えば、次の表現は皆このイメージです。

 

例1)clean up the room 「その部屋をきれいにする」

例2)finish it up  「それをすませておく」

例3)make up 「化粧する」

 

今回のback upではこれらのうちのどちらかの意味でupが使われています。

 

 

1.He backed the car up.

意味:彼は車をバックさせた

目的語パターン:入れ替え可能型

 

このback upは「(人や車など)を(少し)後退させる」の意。ニュアンスとしては、後退させる距離は少しであることに注意です。

 

この意味用法は、backが「後退させる」、upが「停止」を意味していると考えればいいでしょう。つまり、車を後退させて止めるわけです。

 

また、「(人や車などが)後退する」という意味の自動詞用法もあります。

 

例)His car backed up.

「彼の車がバックした」

 

 

2.Traffic is backed up for 5 miles.

意味:5マイルにわたって渋滞している

目的語パターン:入れ替え可能型

 

これが記事タイトル。このback upは「(交通など)を停滞させる」の意です。実際に見かける形としては、見出しの例文のような受身形が殆どのようです。

 

これは、1.の意味用法で出てきたupの意味を拡大・延長させたものでしょう。この点を踏まえれば非常に分かり易い言い方ですね。

 

また、自動詞用法も一応あります。

 

例)Two lanes have been closed by the big accident, causing cars to back up for miles.

「その大規模な事故によって2車線通行止めになっており、数マイルの渋滞が発生しています」

 

 

3.The toilet is backed up

意味:そのトイレ詰まってるよ!

目的語パターン:入れ替え可能型

 

このback upは「(水など)をせき止める」の意。

 

2.は「交通の流れ」をせき止めるという意味でしたが、今度は「水の流れ」をせき止めるという意味。根本は同じですね。

 

 

4.Would you back me up on this?

意味:この件については、私に賛成してくれますか?

目的語パターン:入れ替え可能型

 

このback upは「(人や考えなど)を(精神的または経済的に)支持する、支援する」の意。一応入れ替え可能型とは書きましたが、「back up+目的語」というパターンではあまり用いられないようです。

 

日本語でも「彼をバックアップしてくれ」などと言いますから、この意味自体は分かりやすいですね。しかし、困ったことに上述の1.~3.までのbackの「後退させる」や「せき止める」といった意味からの比喩と考えるには意味がかなりかけ離れています。

 

そこで、『英語語義語源辞典』を開いてみますと、次のような記述がありました。

 

[動]としてあとずさりする[させる], 後ろに立つということから, 支援[後援]する, 手形などに裏書き(保証)する。

 ※[動]は実際には「動」を四角で囲った囲み文字

 

なるほど~。この記述でいえば「後ろに立つ」という捉え方がピッタリでしょう。

 

ただ、「あとずさりする[させる]」と「後ろに立つ」というのは、ある意味で真逆の意味になっており、どちらかから派生した意味と考えるにはやはり奇妙と言わざるを得ませんね・・・。

 

どういうことかといいますと、

 

Tom backed John up.

 

という文があったとして、「後ずさりさせる」つまり「後退させる」という意味では、実際に後退するのはJohnですが、 「後ろに立つ」という意味では、実際に後退するのはTomということになるからです。これは比喩というレベルを超えているようにしか見えなくありませんか

 

ひょっとすると、綴りは同じだが元々別の起源をもつ2種類のback upが混ざってしまったのかもしれませんね。あるいは、単なる誤用が正式な意味として定着したという可能性もあります。う~ん、見た目よりもかなり奥が深いですね、このback up・・・。

 

さて、話を戻してこの場合のbackは「後ろに立つ」という意味で考えればいいということが分かりました。残りのupですが、これは上述のコアイメージにあげた「完全に、完結した状態に」の意味で捉えると良いと思います。

 

すなわち、

 

「~の後ろに立ち、~を補って完全なものにする」⇒「~を支援する」

 

ということなのでしょう。

 

 

5.His statement is backed up by witnesses.

意味:彼の供述には目撃者の証言という裏付けがある

目的語パターン:入れ替え可能型 

 

このback upは「(証言や見解など)の裏付けをする」の意。こちらも一応は入れ替え可能型ですが、「back up+目的語」というパターンではあまり用いられないようです。

 

意味に関しては、4.の「支持する、支援する」という意味用法を延長・拡大したものと考えれば問題ないでしょう。

 

 

6.Maybe you should back up all the files, just in case. 

 意味:念のため全ファイルのバックアップをとった方がいいよ

 目的語パターン:入れ替え可能型

 

このback upは「(データなど)のバックアップをする」の意。また、just in caseは「念のため」という意味です。

 

この意味に関しては日本語になってますし、そのまま覚えればOKですね^^

 

 

 

 

 

 

さて、今回はいかがだったでしょうか?

 

なかなか使いやすい表現だと思いますね、個人的に。

 

では、また。

 

 

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