His leg had to be taken off below the knee. ってどんな意味?~take off その4~【句動詞表現#56】
皆さん、こんばんは。ねこらいたーです (= ̄ω ̄=)
take off編ももう4回目ですが、今回から目的語が1つの場合の用法に入ります。
では、さっそく。
★記事タイトルのヒント:痛々しい意味です・・・
- 初めての方へ
- take off編 過去記事一覧
- 「take off+目的語」に対する基本的な考え方って?
- 15.Greg took off his coat and put it around her shoulders.
- 16.His leg had to be taken off below the knee.
- 編集後記
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
過去記事(【句動詞表現#2】)では、ムダに細かく考察しています。よろしければご覧ください。
take off編 過去記事一覧
takeとoffのコアイメージ / 用法1~4について
↓ 以下の記事を参照ください。「take+目的語+off+目的語」パターン編①です。
用法5~8について
↓以下の記事を参照ください。「take+目的語+off+目的語」パターン編②です。
用法9~14について
↓以下の記事を参照ください。「take+目的語+off+目的語」パターン編③です。
「take off+目的語」に対する基本的な考え方って?
具体的な意味用法を見ていく前に、「take off+目的語」がもつ意味の基本的な捉え方を確認しておきましょう。
まず”take+目的語+off”という形は、前回までの3記事でじっくり見てきたような「take+目的語①+off+目的語②」の中の目的語②が消えてしまった結果できたものと考えます。
ある語が消えてしまう原因としてはいくつかあるでしょうが、ここでは基本的に、言わなくても分かる語なので省略されたという立場をとります。 この立場の妥当性については、これまで扱った用法からある程度立証できます。例えば前回扱った「明日は仕事を休むつもりです 」の言い方に関しては
(a)I'm going to take tomorrow off work.
(b)I'm going to take tomorrow off.
という2つが存在しましたが、(b)の言い方は明らかに(a)の"work"が省略されたものでしょう。他にも、「省略」という現象で説明できるものの典型例としては”give in to”がありますね。これに関しては以下の記事で扱っていますので良ければご覧ください。
さて、話を戻します。
いま、”take+目的語+off”という形は「take+目的語①+off+目的語②」の中の目的語②が消えた結果できたという話をしました。
そして、この”take+目的語+off”から派生したものが"take+off+目的語"です。これは、語順の変更によって話者の強調したい語を示そうとする英語の一般的性質からくるものと考えられます。いわゆる情報構造ですね(これについては以下の記事参照)。
したがって、"take+off+目的語"の意味を考えるときは基本的に”take+目的語+off”の語順に直して考えると分かりやすくなります。
ここまでの流れをまとめると、
take+目的語①+off+目的語② <基本形>
↓ 目的語②の省略
take+目的語+off
↓ 情報構造による語順変更
take+off+目的語
となります。
以下ではこの流れを踏まえ、句動詞take offの基本形である「take+目的語①+off+目的語②」まで遡ることで、その意味を捉えていきます。こうすることで、ただ漠然と英語と日本語を対応させて覚えようとするよりも多少は楽になるはずです。
15.Greg took off his coat and put it around her shoulders.
意味:グレッグは上着を脱いで彼女の肩に掛けた
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
このtake offは「(服など)を脱ぐ、(メガネなど)をはずす」の意で頻出の用法。句動詞take offにおいて最も有名な意味ですね。
"put...around someone's shoulders"というのは「・・・を~の両肩に掛ける」ことを指します。aroundの代わりにonでもほぼ同じ意味になりますが、aroundにした方が両肩を包んでいるニュアンスが出ていますね。
意味の捉え方・覚え方
さきほど述べたように、句動詞take offの基本形である「take+目的語①+off+目的語②」で捉えると分かりやすくなります。
この場合、まず目的語①は”his coat”ですね。では目的語②はどうかというと、例えば”the body”があったと考えるのがいいでしょう。つまり、
take his coat off the body
という表現が大元になっていると考えることができます。これを前回までと同じようにSVOCの第5文型として捉えれば、
①:上着を手に取る
②:①の結果、上着が体から離れる
という2段階に分けられますね。「上着が体から離れる」というのが要するに、上着を脱ぐことです。
16.His leg had to be taken off below the knee.
意味:彼の足はひざ下で切断しなければならなかった
目的語パターン:入れ替え可能型 (※能動態の場合)
語彙解説
このtake offは「(髪や人体の一部)を切断する」の意。
意味の捉え方・覚え方
まず能動態に直してみます。主語は仮にthe surgeonとでもしておきましょうか。また、単純な文にするために修飾語句のbelow the kneeも外しておきます。すると、
The surgeon had to take his leg off.
のようになりますね。
あとは、先ほどと同様に句動詞take offの基本形である「take+目的語①+off+目的語②」で捉えるだけです。この場合、目的語②の位置には"the body"が隠されていると考えるのが妥当でしょう。
take his leg off the body.
句動詞部分だけ取り出すとこうなります。
このままだと「彼の足を取って体から分離させる」ということですが、主語にthe surgeonなどが置かれることで、これが要するに「手術で足を切断する」ことを表すことになります。つまり、手術という文脈が与えられることで、切るという意味も加わってくるわけです。こういったところからも、句動詞の意味がいかに文脈に依存しているかがよく分かりますね。
さて、ここまでの2例から、
方位詞のあとに隠れている目的語を”復元”してあげれば、句動詞がなぜその意味を持つのかが見えてくる
ということが分かっていただけたのではないでしょうか。
他の用例
上の見出し例文は痛々しい感じになっていますが、次のような日常的場面でも用いられます。
The hairdresser asked me how much she should take off.
(出典:Oxford Phrasal Verbs Dictionary)
※私訳:「美容師はどのくらい切ったらいいのか、私に訊いてきた」
編集後記
いかがだったでしょうか。
今回は、最初の基本的な考え方の説明に字数を割いてしまったので、用例の説明がたった2つしかできませんでした・・・。
次回も同じ考え方で各用法を見ていこうと思いますので、良ければご覧ください。
では、また。
↓皆様の応援が励みになります。もしよろしければクリックをお願いいたします