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Have at it.ってどんな意味?~雑談&ベーシック英語~【決まり文句#3】

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こんにちは、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)

 

今回はこのHave at it.という決まり文句を考えてみると、結構いろいろなことが見えてくるのでは?という話になってます。

 

それでは、始めていきます。 

 

 

Have at it. ってどんな意味?

先に意味から確認すると、これは「さぁどうぞ;召し上がれ;やってみて;さぁ始めて」という意味です。前半2つが飲食物を勧めるとき、後半2つが何かの行為をやるよう勧めるか指示するときに用いられます。

 

例)"Here's your coffee. Have at it."

 「はい、コーヒー。さぁ、召し上がれ」

 

 

どうしてこの意味になるの?

 以前の記事をご覧になった方はもうお気づきかもしれません。そう、実はこれhaveとatの間にあった語が省かれているんです。もともとは

 

Have a try at it. または Have a go at it.

 

という表現です。

 

注意点はtryもgoも名詞であること。どちらも「試すこと」を意味しています。

 

haveとatのコアイメージは?

haveのコアイメージは「所有」です。このhaveというのは、ただ自分のものとして何かを手に持っているということだけでなく、もっと広い意味を含んでいます。抽象的に言えば、自分のテリトリーがまずあって、そこの中に入っているものあるいはそこで起きたことは全て自分に属することなのでhaveになります

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この図でいえば、次のようになります。

 

A・・・手に持っているボールなど

 

B・・・ペットや家・車など自分が所有しているもの

 

C・・・髪や目など体に含まれている特徴。帽子など体に触れているもの。飲食物など体内に取り込むもの。

 

D・・・天気が良い・悪いなど、自分のいる国・地域・土地で起こる出来事。車を直してもらうなどのように、自分の所有するものに起こる出来事

 

特に注意するべきはDのタイプ。このように出来事に対して用いるhaveは、一般に「経験のhave」といわれるものです。

 

このように大きく分けると4タイプありますが、結局どれも自分のテリトリー(図の青い部分)に入っているという点は同じです。

 

 

 次にatですが、こちらのコアイメージは「点」です。

 

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イメージとしては、スナイパーがスコープ越しにターゲットを狙っている感じです。スナイパーはターゲットに意識を集中させているわけですから、そこしか見えていません。つまり、非常に視野が狭くなっている状態なのです。

 

そしてこのターゲットが場所ならat the stationのようになり、atがもつ「狭い」という感覚から建物などの比較的狭い場所に対して用いることが多いです。またターゲットが時間なら、at sevenのように「7時ピッタリに」という感じになります。

 

またatの持つ一点という狭い感覚は、感情が凝縮され強烈なものになっているというイメージも持ち、shout at Tomといえば「トムを怒鳴りつける」という敵意を含んだ言い方になります。これはshout to Tomが単に「トムに向かって叫ぶ」という中立的な意味にしかならない例と比較すると分かり易いです。

 

 

ところで、Try it.でいいんじゃないの?

確かにHave a try at it.の意味はTry it.でもほぼ同じですが、ネイティヴはこのような「基本動詞+動詞の名詞形」を会話では好んで使っています

 

学校英語でも以下のような表現がネクステや英頻などの問題集に出ていたと思います。皆さん、見覚えありませんか?

 

take a look at~ 「~を見る」

take a bath 「入浴する」

do the washing 「皿洗いする」

give ~ a try 「~を試す」

make consideration 「考慮する」

 

(ちなみに今回の表現も"Give it a try."と言い換えることも可能でしょう。これもよく使う表現です。)

 

では、なぜこのような「基本動詞+動詞の名詞形」が好まれるのかについてですが、これに関しては次の2つの理由が考えられると思います。

 

理由①:動詞の名詞形に修飾語をつけるとカンタンに意味のバリエーションが増える

通常、動詞を修飾するには副詞を用いますが、この副詞というものは意味の内容によって使ってよい配置場所が決まっていたりするので、ネイティヴにとっても少し煩わしいという感覚があるのかもしれません。一方でこのような「基本動詞+動詞の名詞形」では、見かけ上の動詞である基本動詞は本来の意味が薄れてほぼ形式だけになっていて、事実上の動詞の意味は動詞の名詞形が担っているので、とりあえずその名詞の前に形容詞などをおけばよくカンタンにバリエーションが増やせるという推測ができると思います。

 

例)

take a good look at~ 「~をよく見る」

make ~ a primary consideration 「~を第一に考える」

give ~ anoher try 「~をもう一度試す」

 

理由②:リズムができて言いやすい

こちらに関してはあまり詳しくないのであくまで想像となりますが、Try itは字面上は短いので言いやすいはずなのに、ひと呼吸或いは1拍子で言えてしまうので口にしっくりこないといった感覚があるのかもしれません。

 

その点、give it a tryだと見た目上は単語数が増えるのに、実際には2拍子になるためリズムが発生して言いやすくなるのではないかと思っています。

 

この辺りの話は、海外経験豊富な方の意見をうかがってみたいものですね。

 

 

感想と本の紹介

さて、今回は雑談のようになってしまいましたが、いかがだったでしょうか?

 

さきほどの「基本動詞+動詞の名詞形」という形は句動詞以上に注目されていない分野のようで、現状では結局のところ、見聞きした表現をマネして使っていくうちにどの動詞を使えばいいのかなどの感覚を磨いていくほかないでしょうね・・・。

 

しかし、この分野の大きなヒントとなるものはあります。それが チャールズ・ケイ・オグデン(Charles Kay Ogden)氏がおよそ100年くらい前に考案した"Basic English"(別名:ベーシック英語あるいはベーシック・イングリッシュ)というものです。

 

これは、巷で流行っているような怪しい(?)類のものでは全くなく、きちんとした言語学者が理論に基づいて使用語彙を850語にまで制限した、いわば「ミニ英語」です(ちなみに、ハッキリと書いていなくてもベーシック英語に基づいている英語教材もちらほら見かけますね)。どれくらいミニかというと、ふつうの英語でいう動詞はこのベーシック英語ではたった16個しかありません。

 

こんな少ない数でどうやりくりしているのかといえば、それが今回の記事で出てきたような「基本動詞+動詞の名詞形」という形を限界までフル活用して、あらゆる一語動詞の代わりをさせているんです。ただし、ベーシック英語はあくまで理論上可能な表現なので、実際の英会話やライティングで使うと意味は通じるものの不自然になりそうなものもあるので万能というわけではありません。

 

・・・と、あまり書くと本編より字数割きそうなので、続きはまた別の機会に。

 

最後に、需要があるかどうか分かりませんが、このベーシック英語の関連本と、ベーシック英語協会のHPをご紹介して終わりにしておきます。では、また。

 

 

 

◎文字通り、ベーシック英語の普及を目的とした協会です。高田力氏の昔の著作の説明部分がほぼ全て載っているので、本まで買う気にはならないけど気になるという方にはオススメです

日本ベーシック・イングリッシュ協会

 

 

 

 

 ◎ベーシック英語の仕組みや作られた背景およびオグデン氏のことが詳しく知りたい方はこちら。ただし、本書ほぼ説明のみなので、実際に使ってベーシック英語を体感したいという方には下の3冊の方をオススメします。

 

 

 

◎穴埋め形式問題を通してベーシック英語がどういうものなのか分かる問題集です。後藤氏の著作ならこちらをまずオススメします。

書き・話す英語のキーワード850―基本語彙の使い方演習

書き・話す英語のキーワード850―基本語彙の使い方演習

 

 

 

 

◎上の『書き・話す英語のキーワード850』と同じ著者のものです。こちらも同様に形式は穴埋めになっている問題集。こちらの方が古い著作です。

道具としてのベーシック英語教本―850語の考え方と使い方

道具としてのベーシック英語教本―850語の考え方と使い方

 

 

 

 

◎こちらは、章ごとに絵と例文を用いた説明のあと英作文問題を解くという形式になっています。内容的には上2つよりも易しめですが、例文やその説明からベーシック英語の全体像が分かり易いのは恐らくこちら。英語が苦手な方でもとっつきやすくベーシック英語の全体像も把握しやすいので、初めての方への一番のオススメは個人的にはコレですが、いかんせんamazonには中古本しかないようです・・・。

ベーシック先生の基本動詞でこれだけ言える英語術

ベーシック先生の基本動詞でこれだけ言える英語術

 

 

 

 

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