This calls for a celebration! ってどんな意味?【句動詞表現#12】
どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
今回の表現は句動詞call for~。
callと聞くと反射的に「電話する」という意味かと思ってしまいますが、今回はその意味じゃないんです!
では、始めていきましょう。
- 初めての方へ
- callとforのコアイメージって?
- 1.He called for help.
- 2.All of them called for Craig's resignation.
- 3.This calls for a celebration!
- 4.I'll call for you at seven.
- 5.The President called for deepening the economic cooperation with the country.
- 6.The forecast calls for rain tonight.
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
callとforのコアイメージって?
callのコアイメージはズバリ「大声で叫ぶ」です(↓下図参照)。
「電話する」のイメージが強いこの語。歴史をふりかえると電話というものが考案・発明されたのが19世紀中頃から後半にかけてといわれていますが、『英語語義語源辞典』によれば、現代英語callの起源とされる単語自体は古英語(5世紀~11世紀中頃)の時代から使われていたようです。
したがって、「電話する」という意味は近代になってからcallの意味に追加されたことは明白ですね。つまり、「人に電話する」というのは「人を呼び出す」という意味から派生したに過ぎないと考えられます。
次にforですが、こちらは【句動詞表現#11】でご紹介したように、「ある方向に向かう」がコアイメージとなります。
そして、この「ある方向に向かう」というコアイメージから発展して「何かを求める」というニュアンスが出てきます。これがいわゆる目的・要求のforです。今回のcall forでは、forはこの意味で用いられています。
1.He called for help.
意味:彼は助けくれと叫んだ
目的語パターン:後置型
このcall forは「大声で~を求める」の意味。
上記で説明したcallのコアイメージ「大声で叫ぶ」と「何かを求める」という意味のforを足し算しただけなのでカンタンですね!
2.All of them called for Craig's resignation.
意味:彼ら全員、クレイグ氏の辞任を要求した
目的語パターン:後置型
このcall for~は「(人が)~を(公式に)要求する」の意。
これは、上の用法1での意味を比喩的に用いた結果出てくる派生的な意味です。というのも、用法1の箇所ではHe called for help.を「彼は助けくれと叫んだ」と訳しましたが、これはつまり助けを要求しているということにほかなりませんよね。用法2はこの点を利用しているわけです。
そして、この用法2は比喩なので、用法1のように実際には大声で叫んでいないケースであっても使えることになるのです。ひょっとすると、「公式に」というニュアンスは用法1の「大声で」のニュアンスを比喩的に変換したのかもしれないですね。
また、次のようにto不定詞を伴う形にもできます。
All of them called for Craig to resign.
3.This calls for a celebration!
意味:これは、お祝いしないと!
目的語パターン:後置型
これが記事タイトルの表現で、このcall for~は「(モノが)~を必要とする、要求する」の意味。直訳なら「これは祝うことを必要としている」となります。これは明らかに用法2の主語を「もの」に変えただけなので、用法2からの派生的意味でしょう。
そういえば、『逆境無頼カイジ』の主人公カイジのものまねで有名な芸人さんいましたね。コンビ名「こりゃめでてーな」の伊藤こう大さんです。彼らのコンビ名も無理やり英訳すれば"This calls for a celebration!"となりますね!
4.I'll call for you at seven.
意味:7時に迎えに行くよ
目的語パターン:後置型
イギリス英語。このcall for~は「~を誘いに[取りに]立ち寄る;迎えに行く」という意味。
これは、例文1.から考えると意味が分かりやすいと思います。つまり、人を求めて大声を出すということは、目的はその人自体ということ。ここから人を誘う・迎えに行くという意味が派生したのでしょう。また電話のない時代には誰かを呼ぶにはその人の家に行くことが必要ですよね。そこから立ち寄るという意味が出てきたのではないでしょうか。
と思って、『英語語義語源辞典』でcallを引くと次のような記述がありました。
昔戸口で来訪を知らせたり、用件を伝えるために大声で叫ぶことをcall at doorといったが、ここから家を訪問する、立ち寄るの意が生じ、さらに人を訪問する(on)という意味も生じた。
なるほど、納得のいく説明です^^
昔の子供のイメージでいえば、玄関先にやってきて「〇〇ちゃん、あーそぼっ!」と誘っているイメージが近いですね。
5.The President called for deepening the economic cooperation with the country.
意味:大統領はその国との経済協力関係を深めていくことを公約に掲げた
目的語パターン:後置型
アメリカ英語。このcall for~は「~を公約に掲げる」の意。
forは目的・目標のforと考えれば分かり易いです。つまり、「何かの目標にむけて大声を出す」ということから「何かを目標にして演説する」となり最終的に「~を公約に掲げる」という意味に発展したのでしょう。
6.The forecast calls for rain tonight.
意味:天気予報によると、今夜は雨だ
目的語パターン:後置型
アメリカ英語。このcall for~は「~を予測する」の意。ただし予測なら何でもいいというわけではなくて、実際には天気予報に対して使うのが普通なようです。
forは「ある方向に向かう」というコアイメージだという説明をしましたが、ここではその向かう方向が「場所」ではなく「未来という時間概念」になっていると考えればOK。つまり、
未来に向かって大声を出す⇒ 未来を予測する
というように理解できます。
さて、いかがでしたか?
一般に、英語では動作の対象が具体的なモノから抽象的なものへ変化して比喩的な表現になる傾向があります(これは言語一般に言える特徴です)。方位詞の意味も同じで、具体的な場所から抽象的な時間観念へと変化すると捉えると分かり易い場合が多い気がします。
今回登場したforでいえば、用法1では方角つまり「空間的な方向」だったのが、用法5では「目標という概念に対しての方向」になり、さらに用法6では「時間的な方向」になっていましたね。
では今回はここまでです。
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