ややこしい表現「That's what it's all about.」を徹底攻略!【決まり文句#2】
どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
この"That's what it's all about."を初めて見たのは確か学校の授業だったと思いますが、けっこう衝撃でしたね。まさに「並んでる単語はカンタンなのにさっぱり分からん・・・(゜д゜)」という感じでした。
そこで、今回はこのややこしい表現をじっくり考えてみたいと思います。
初めて見たという方、知ってはいるけどよく分からないという方、少し立ち止まって考えてみませんか?
- aboutのコアイメージって?
- itとthatの違いって?
- 関係代名詞whatって何だっけ?
- That's what it's all about.を分解すると?
- aboutはどう考えればいい?
- VOAの例文で考えてみよう
★STEP1. 基本を確認しよう
aboutのコアイメージって?
aboutのコアイメージは「周辺」です。他の言葉でいえば、まわり・付近・外側・周囲などですね。ねこらいたー的にはこの「周辺」という言葉が一番しっくりきます。
イメージとしては、小さな無人島を俯瞰した映像を思い浮かべればOKだと思います。つまり、意識されているものや話題になっているものがまず中心(=無人島)にあり、その周辺(=海)に何かが存在しているというのがaboutの感覚です。
例えば、次の文の意味を考えてみてください。
We walked about Kamakura yesterday.
これは、「昨日、鎌倉周辺を散策した」という意味の英文です。この場合、鎌倉を中心に置いてその周りを散策したということなので、「鎌倉あたりを散策した」ともいえますよね。「だいたい鎌倉」「大雑把に言って鎌倉」という感じです。
皆さんお馴染みの「約、およそ」という意味もこの感覚から来ています。about twenty peopleであれば、「20」という数字を中心に置いてその周辺、だいたい20、大雑把に言って20ということです。
itとthatの違いって?
どちらも、既に話した内容(=旧情報)を指すことができるという点では共通しています。しかし、代名詞が指すことが可能な名詞句や文などが2つ以上ある場合には、基本的にitは話題の中心になっているものを指し、他方thatは最も直近に言及したものを指します。
これをPractical English Usage(Third Edition)の例文を借りて具体的に説明しますね。
We keep the ice-cream machine in the spare room. It is mainly used by the children, incidentally.
(Practical English Usage, Third Edition)
私訳:「アイスクリームマシーンは空き部屋に置いてるんだ。ちなみに、使ってるのはだいたい子供たちだよ」
この英文では二文目の先頭にitがあります。このitが指せそうなものを機械的に考えれば、 the ice-cream machine か the spare roomのどちらかになりますよね。
ここで、先ほどの「基本的にitは話題の中心になっているものを指す」という観点が生きています。何か特別な強調がされている場合を除けば、話題の焦点は主語または動詞の目的語になるのがふつうです。したがって、上記の例文ではitが指すのはthe spare roomではなくthe ice-cream machineということになります。
次にthatの場合を考えてみましょう。なお、thisは今回の記事では出てこないので説明は省略します。
We keep the ice-cream machine in the spare room. This/That is mainly used by the children, incidentally.
(Practical English Usage, Third Edition)
先の例文中のitの部分を変えただけで他は全く同じ文章です。今度は「thatは最も直近に言及したものを指す」という観点で眺めてみると、thatが指すのはthe spare roomということになりますね。
関係代名詞whatって何だっけ?
これに関してもごく簡単に触れておきましょう。
関係代名詞のwhatは「what S V」(意味:SがVするもの・こと)または「what V」(意味:Vするもの・こと)という構造を作り、一般的に言ってthe thing(s) whichと言い換え可能とされています。
注意点は、他の関係代名詞同様に、whatが関係詞節の中で意味上の主語となるか或いは動詞・前置詞の意味上の目的語となっていること。これはつまり、関係詞節の主語または動詞・前置詞の目的語の必ずどれか一つが見かけ上は欠けていなければならないということを意味します。
例えば、次の表現では、動詞の過去形saidの目的語が見かけ上ありませんね。その代わりとして、関係代名詞whatがsaidの意味上の目的語の役割をしています。
what you said (= the things which you said)
「君が言ったこと」
例をもう一つ。今度はbe動詞isの主語が見かけ上ありません。この場合には、その代わりとして、関係代名詞whatがbe動詞isの意味上の主語の役割をしています。
what is important (=the thing which is important)
「重要なもの[こと]」
さて、これで基本準備は整いました。いざ、攻略!
★STEP2. 実際に分析しよう
That's what it's all about.を分解すると?
まずこの形は短縮形になっているので、元の形に直すと
That is what it is all about.
となりますね。
大枠はThat is what S V.という構造であり、またbe動詞はイコール関係を示すので「That = what S V」 という図式で表すことができます。
次にwhat S Vの中を分解してみると
what = 関係代名詞
it = what節の主語
is = what節の動詞
all = 強調の副詞
about = 前置詞
となります。
注意点は、
①関係代名詞whatは前置詞aboutの意味上の目的語である
②allは強調の働きをする副詞でaboutを修飾する
の2点です。
この副詞用法のallはあまり意識されないようなので、分かりにくいかもしれませんね。しかし逆に言えばこのallは強調の意味しか持たないので、もし分かりづらければ削除してしまってもOK。
一応、同じ用法のallの例を挙げておきます。
例1.I'm all for his plan.
「彼の計画に大賛成します」※forは賛成の意
例2.We traveled all over the world.
「世界中を旅してまわった」
allはそれぞれfor his planとover the worldを修飾していますね。もしallを削除しても大筋の意味は変わらないことが分かると思います。
aboutはどう考えればいい?
STEP1.でも確認したように、aboutのコアイメージは「周辺」です。また、aboutを用いるときは何かを意識の中心に置いているというお話もしました。例えば、about the parkなら意識の中心は公園であり、about 20なら意識の中心は20という数字です。
この「意識の中心」という感覚は、重要である・核心であるというニュアンスを発生させてもおかしくはありませんよね。
実は、このニュアンスが出ているのがThat's what it's all about.のaboutなんです。つまり、「itが指すものは問題の核心の周辺にあるが、その問題の核心というのがthatの指すものなのだ」というのが直訳で、ここから「itの指すものの核心はthatの指すものだ」という意味になっているわけです。
そして、これを分かりやすい日本語に直すと「結局はそういうことなんです」という感じになります。
類似表現に"What's it all about?"(「一体それはどういうこと?」)という表現がありますが、これも同じように考えればOK。つまり、「それの核心・本質は何なのですか?」ということ。そして、これを分かりやすく言い換えたものが「一体それはどういうこと?」という日本語訳なのです。
ちょっと話が抽象的になってしまいましたが、何となく呑み込めたでしょうか?
VOAの例文で考えてみよう
では、実際の用例で確認してみましょう。以下は、George W. Bushの2期目の就任パレード時のことを振り返った記事のようで、その中のインタビューに次のような発言がありました。
"Only in America, I think, we have a peaceful transition from one administration to the next and I think we are all for freedom and that is what it is all about,” said Doctor Mitchell.
(VOA NEWS October 30, 2009)
私訳:「『私が思うに、アメリカだけですよ、政権交代がこんなにも穏やかなのは。皆、自由を求めてるんだと思う。結局はそういうことなんです。』とミッチェル医師は言った」
※元記事はこちら↓
www.voanews.com
この例では、that is what it is all aboutというように、短縮形ではない形で使われていますね。
問題は、thatとitが何を指しているのかです。STEP1.のitとthatは名詞句を指していましたが、実際には文や文の一部、さらには前の文章を漠然と指す場合もあるので結構面倒です。この例文ではどうでしょうか。
前提としては、この発言をしたミッチェル医師は該当記事ではこの箇所よりも前には登場していないので、itとthatが指すものは必ず上記の抜き出し部分のどこかにあります。
とりあえずthatの方から考えてみますと、その直前には
I think we are all for freedom
という文がありますね。
thatは基本的に直前に言及したものを指すので、freedomは必ずthatの指示範囲に入っていると考えていいでしょう。すると、thatの指示しているものの候補は
① freedomのみ
② we are all for freedom
③ I think we are all for freedom
のどれかになります(ちなみに、この箇所のallはfor freedomにかかる副詞という解釈も可能ですが、ねこらいたーとしてはweの同格を意味する代名詞のallと解釈しました)。しかし、これだけではどれかよく分からないので、itについても考えてみましょう。
STEP1.のアイスクリームマシーンの例文では、itの指すものはthatが指すものよりも前にありましたよね。これと同じように考えると、itが指すものが含まれているのはどうやら先頭の一文目だと推測がつきます。つまり、以下の部分ですね。
"Only in America, I think, we have a peaceful transition from one administration to the next....
(VOA NEWS October 30, 2009)
itは基本的に話題の中心になっているものを指すのですが、この文の話題の中心は何でしょうか。
一応、文頭に場所を示す修飾語句が置かれて強調されているので、可能性としてはAmericaという単語も話題の中心として考えられなくはないですが、伝えたいのはそこではなく、むしろAmericaが何なのか・どうしたのかということでしょう。したがって、話題の中心は「アメリカの政権交代は穏やかだ」という文全体だと考えられます。
さて、これはitの指す部分なので、これを例のthat is what it is all aboutに当てはめると
となります。これをもっと噛み砕けば、「アメリカの政権交代が穏やかだ」という事象の原因(または理由)にあたるのがthatの指すものだ、ということになるでしょう。
では、これを踏まえてthatが指すものはさきほどの候補①~③のうちのどれになるでしょうか。
① freedomのみ
② we are all for freedom
③ I think we are all for freedom
私ねこらいたー的には②we are all for freedomだと思います。少なくとも③はあり得ないですよね。というのも、権力を握っているわけでもない一個人の考えが原因でアメリカの政権交代が穏やかだという事象が起こるというのは、ふつう考えられないからです。
①freedomも違和感があります。というのも、自由という概念自体が原因でアメリカの政権交代が穏やかになっているという繋がりは少しズレている気がしませんか。確かに「アメリカは自由の国」とよく言われますが、それは世間の意識として自由であることを重要視しているということでしょう。
以上をまとめると
「皆が自由を求めているからこそ、アメリカの政権交代は穏やかなのだ」
というのがこの用例においてのthat is what it is all aboutの真意ということになります。
さて、いかがでしたか?
想像以上に長くなってしまいました・・・(汗。最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。
ともあれ、一応解説のようなものはできたと思ってはいます(が、はたしてこの説明で伝わっているのか多少不安もあったりなかったり)。
今回はここまでです。
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