気ままに英語あそび

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意外と知らない句動詞の事実って?(2)【句動詞表現#39】【英語学習のヒント#4】

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皆さん、新年あけましておめでとうございます。ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)

 

前回の記事からかなり間が空いてしまいましたが、続きの内容となります。

 

では、さっそく。

 

(なお、各節の数字は前回からの通し番号です)

 

※2019/01/03 「前置詞用法のない副詞」に関する記述を修正

 

 

 ~前回のまとめ~

◎句動詞を一言でいうと、口語体の会話(日常会話など)および口語体の文章(メール、SNSやチャットなど)でよく使われる動詞表現。

 

◎句動詞の構造には、①「動詞+前置詞」、②「動詞+副詞」、③「動詞+副詞+前置詞」の主に3パターンある 

 

◎ 句動詞で使う副詞は基本的に、前置詞用法も副詞用法も持つ語+前置詞用法のない副詞10コ(ahead, backなど)

 

◎句動詞に使われる前置詞は基本的に、前置詞用法も副詞用法も持つ語+副詞用法がない前置詞15コ(against, amongなど)

 

 

5.「前置詞だから〇〇〇」という説明の奇妙さとは?

前回(意外と知らない句動詞の事実って?(1)【句動詞表現#38】)の3節と4節にてご紹介しましたように、句動詞においては前置詞・副詞の両用法を持つ語がかなりの数あります。正確に数えたわけではありませんが、その数はおよそ30個です。

 

この現状を踏まえたとき、よくされる句動詞の説明で奇妙に感じるものがあります。それは、「このoverは『前置詞』だから目的語は後ろにおきます」「このupは『副詞』なので、目的語の位置はmake +up+目的語かmake+目的語+upになります」というような説明です。

 

よく考えると、これってオカシくありませんか?

 

前置詞または副詞のいずれか一方の用法しかない語は別にしても、の両方の用法がある語に対して上記のような説明するのは、何かを説明をしているようで実際には何も説明できてないのではないでしょうか?

 

この点については副詞用法のある前置詞一覧表【英文法#4】でも触れていますので、そこから引用しておきます。 

 

例えば、overは次のように前置詞用法も副詞用法もある語です。それぞれ、前置詞か副詞か判断できるでしょうか。

 

例1)He got over the river.

「彼は川を渡った」

 

例2)He got over to the house.

「彼はその家に到着した」

 

例3)He couldn't get over the message.

「彼はそのメッセージの意味を理解させることができなかった」

 

例1のoverはgot the river overとはできないので前置詞。例2のoverには前後に名詞がないので副詞。例3はget the message overとすることもできるので副詞となります。

 

このように前置詞用法も副詞用法もある語においては、前置詞か副詞かというのは結果としてわかることであって、最初から「これは前置詞」「あれは副詞」と決まっているわけではないのです。したがって、たとえば例1を「このoverは前置詞なので、後ろに目的語をおきます」のように説明するのは無意味でしかありません。

 ※例3のget overについて。頻度的には"get the message over"という語順の方が多いようですが、"get over the message"の語順も認められています(Oxford Phrasal Verbs Dictionaryでも言及あり)。

 

このように、前置詞・副詞どちらか一方のみの語を除けば、前置詞・副詞というのは結果として分かることにすぎません。つまり、後ろに必ず名詞を置く語は「前置詞」と分類され、逆に、必ずしも直後に名詞を置かなくてもよい語は「副詞」と分類されるわけです。

 

そして、以上のような点を考慮したのが「不変化詞(=パーティクル、particle)」「空間詞」「小辞」「方位詞」などの用語です。これらは、句動詞で用いられる前置詞・副詞を一括りにした言い方で、主流の呼び方は「不変化詞(=パーティクル、particle)」または「空間詞」となっています。

 

このように、句動詞に含まれるある語が前置詞か副詞かをいちいち区別するよりも、それらをまとめて「不変化詞」などと呼んでしまった方がスッキリしませんか?(ちなみに、本ブログでは「方位詞」の呼称を使ってますね)

 

 ここで、この「不変化詞」という用語を使って前置詞、副詞を捉えなおしてみましょう。すると、

 

◎直後に目的語を必要とする不変化詞を品詞分類すると結果的に「前置詞」になる

 

直後に目的語を必要としない不変化詞を品詞分類すると結果的に「副詞」になる

 

のように定義できます。

 

この定義を念頭におけば、「これは前置詞だから後ろに名詞を置く必要があります」といった部類の説明はオカシイことが分かると思います。だって、前置詞という結果ありきで説明しているんですから。これでは説明の流れが逆です。

 

では、どうやって「ある不変化詞が直後に目的語を必要とするか否か」を判断したらいいのでしょうか?

 

これは文全体の意味から考えるのですが、詳しくは次の節以降に回します。

 

 

6.目的語が必要な不変化詞の見分け方はある?①

5節で見たように、ある不変化詞が直後に目的語を必要とするかどうかが分かれば、結果的に前置詞か副詞か分かるのですが、その基準はどこにあるのでしょうか?

 

もう一度、さきに挙げた例文を見てみましょう。

 

a)He got over the river.

「彼は川を渡った」

 

b)He got over to the house.

「彼はその家に到着した」

 

c)He couldn't get over the message.

「彼はそのメッセージの意味を理解させることができなかった」

 

このうちで、不変化詞overを目的語の後ろに回せるのは例文c)のみなのですが、他の2つとの違いはどこにあるのでしょうか。

 

分かりやすいのは例文b)。もしこの例文の不変化詞overが「直後に目的語を必要とする不変化詞」だとすると、overとtoの間に目的語となる名詞があるはずですが実際には何もありませんよね。

 

したがって、例文b)の不変化詞overは「直後に目的語を必要とする不変化詞」ではなく「直後に目的語を必要としない不変化詞」であるとすぐに分かります。つまり、このoverはいわゆる副詞ですね。

 

このように不変化詞が2つピッタリとくっ付いた形で文中にある場合は、基本的に、

 

「直後に目的語を必要としない不変化詞」+「直後に目的語を必要とする不変化詞」

 

という構造になっています。

 

ただし、これらの位置は固定されていることに注意です。固定されているのは、個々の句動詞にそれ相応の理由があるからなのですが、ついでにこの点に関しても、さきの例文b)を材料に確認してみます。

 

例文b)はget over toで固定なので、

 

b’)He got to the house over.

 

のような位置にoverがくることは普通ありません。

 

どういうことかといいますと、実はこの句動詞は元々、

 

He got over the river to the forest.

「彼は川を渡って森に着いた」

 

のような形でした。

 

このようにget over to~のoverは本来、目的語を必要とする不変化詞です。そして、わざわざ「どの場所をoverするのか」を言わなくても文脈や状況から聞き手にも分かると判断して省略・消失したのが例文b)の形となります。すなわち、overがgetとtoの間にあることにキチンとした意味があるからこそ、get over toという語順なのです。

 

b)He got over to the house.

「彼はその家に到着した」

 

この句動詞に関してのさらに詳しい説明は以下の【句動詞表現#10】を参照ください。用いられている不変化詞は異なりますが、overの場合と発想はほとんど同じなのでget over toに関する理解を深めるのにも役立つと思います。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

さて、ここまでつらつらと話をしてきましたが、不変化詞が2つピッタリとくっ付いた形だからと言って常に上記のget over toのような名詞の省略があるとは限らないので注意が必要です。ここで伝えたかったのは、あくまで

 

「直後に目的語を必要としない不変化詞」+「直後に目的語を必要とする不変化詞」

 

という語順になる相応の理由が個々に存在しているというその一点です。get over toの場合は、その語順になる理由がたまたま「overとtoの間に省略されている語が存在した」という点にあったというだけです。

 

では次に、例文a)と例文c)の違いに関してですが・・・・これまた説明が長くなりそうなので次回に回したいと思います。

 

内容がぶつ切れになってしまい申し訳ありません・・・。

 

 

今回のまとめ

前置詞と副詞の両用法がある語に対して「これは前置詞なので直後に名詞を置きます」のように説明するのは、何かを説明をしているようで実際には何も説明できてない

 

◎後ろに必ず名詞を置く語は「前置詞」と分類され、逆に、必ずしも直後に名詞を置かなくてもよい語は「副詞」と分類される。このように前置詞・副詞という区別は結果として分かるものでしかない

 

◎このような点を考慮したのが「不変化詞(=パーティクル、particle)」などの用語。これは句動詞で使われる前置詞と副詞をひとまとめにしたもの

 

不変化詞が2つピッタリとくっ付いた形で文中にある場合は、基本的に、

 

「直後に目的語を必要としない不変化詞」+「直後に目的語を必要とする不変化詞」

 

という構造になる。ただし、これらの位置は固定されていることに注意

 

 

編集後記

 いかがだったでしょうか。

 

何とも中途半端なところで終わってしまいましたが、本題は次回で扱う例文a)と例文c)との違いについてです。

 

前回から大分期間が空いてしまったのはサボっていたからではなく、今までの考え方を整理していたからです・・・。「投稿遅すぎて前回の内容忘れたわっ!」という方、大変申し訳ありません(汗)

 

最後に、本年もねこらいたー及びブログともども宜しくお願いいたします。

 

では、また。

 

 

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