He went at the food like a starving animal. ってどんな意味?【句動詞表現#13】
どーも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
Have at it.ってどんな意味?~雑談&ベーシック英語~【決まり文句#3】で出てきたhave at itはもともとhave a go at...という形だったというお話をしましたが、さらにこれにはgo at...という句動詞がもとになったと考えられる部分があります。
ということで、今回の表現はgo at...についてです。
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
goとatのコアイメージって?
goのコアイメージは「話し手または聞き手のいる場所から離れてどこかへ行く」です。これは、comeのコアイメージが「意識の中心に近づく」であることと比較しながら覚えると理解しやすいと思います。
考えてみると当然なことなのですが、誰かと話す時その話し手の意識は聞き手にあるわけです。 したがって、comeのコアイメージである「意識の中心に近づく」を前提とすれば、聞き手のところに行く場合には上図のようにI'm coming.となります。
一方で、これをI'm going.と言ってしまうと、"Where are you going?"あるいは"Are you going home?"などと聞き手に言われてしまうでしょう。これは、goという動詞は話し手が聞き手のいる場所以外の所へ行くということだからです(下図参照)。
次にatですが、これは【なるほど英語#15】で扱った通り、「点」がコアイメージです。この「点」というイメージから、意識や感情が一点に集中しているというニュアンスも派生します。aim at the targetといえば標的という一点に意識が集中し、get angry at himといえば彼という一点に感情が集中します。kick at the doorといえばドアという一点に意識を集中させて蹴るので「ドア目がけて蹴りかかる」となります。
今回の表現go atのatもこのようなニュアンスで使われていると考えれば分かり易いでしょう。
1.John went at him suddenly.
意味:ジョンは突然、彼に襲いかかった
目的語パターン:後置型
このgo at...は「~を襲う、攻撃する」の意。先ほど挙げたkick at the doorと同じでatは「~を目がけて」というニュアンスです。つまり、
「ジョンは彼を目がけて行った」⇒「ジョンは彼に襲い掛かった」
という流れです。
このatのニュアンスは次の文と比較すればよく分かります。
John went to him suddenly.
「ジョンは突然、彼のところに行った」
では、ここで問題。「ジョンは突然私に襲い掛かってきた」は何というでしょう?
ヒントはコアイメージです。答えはこのページの一番下に置いておきますので、少し考えてみてください。
2.He went at the food like a starving animal.
意味:彼は飢えた動物のように噛り付き始めた
目的語パターン:後置型
これが記事のタイトル。「(仕事など)に真剣に取り掛かる;(食べ物)をがっつくように食べ始める」というのがこのgo atの意味となります。便宜上、目的語によって訳し分けしてありますが、どちらも「熱心に何かをやり始める」ということであり、根幹は同じ意味です。
上述の例文1.では、相手に襲い掛かるのですから体の移動が含意されていましたが、こちらは意識の移動と考えた方が分かり易いでしょう。つまり、「仕事や食べ物などに意識を一点集中させた結果、まるでその行為に意識がまるごと持っていかれてしまっているかのように見えるほど熱中している」というように捉えればいいと思います。
また、この意味には次のような成句もあります。
They went at it hammer and tongs.
「彼らは激しく議論した;彼らは猛烈な勢いで働いた」
これは、itが議論の対象になっているもの或いは仕事を指しているのでしょう。後半はは実際にはbeingが省略されたのだと考えられますが、次のように前置詞用法のlikeを補った方が分かりやすいかもしれませんね。ちなみにtongsとはいわゆる「トング」のこと。英語では常に複数形です。
They went at it being hammer and tongs.
They went at it like hammer and tongs.
さて、いかがだったでしょうか?
今回のgoは単なる移動の意味を超えていますから完全な比喩表現ですが、なかなか面白い言い方だと思います。
ところで、冒頭で触れたhave a go at...には「~を攻撃する」という意味もあるのですが、実はこれは元々go at...の意味を持ちこんだ表現だったというわけです。このように繋げて学習すると忘れにくいのでオススメですよ^^
では、また。
※「ジョンは突然私に襲い掛かってきた」の答え
John came at me suddenly.
goのコアイメージのところでご紹介したように、goは話し手または聞き手のいる場所以外のところに行くことを指します。したがって、この場合には話し手の所にジョンがやってくるため、goは使えません。では、どうするかというと、「ジョンがやってくる」のですからcomeが使えますね。というわけで、上記のような答えになります。
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