「~を読み取る」は、read ~into...?それともread~off?【句動詞表現#31】
どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
今回扱うのは、read~into...とread off。
比較的カンタンですが、注意すべきところがある句動詞です。
では、始めます。
- 初めての方へ
- 今回扱う方位詞のコアイメージは?
- 1.You're reading too much into his words.
- 2.Amanda looked at the thermometer and read the temperature off.
- 3.Chloe read off the names of successful applicants.
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
今回扱う方位詞のコアイメージは?
intoのコアイメージ
intoのコアイメージは「中へ向かって」です。”in”+”to”なので"into"となります。したがって、単に中にあるという状態を示すinとは異なり、intoは「中に入る動き」が感じられる方位詞です。
この「中に入る動き」を比喩的に捉えて、状態の変化を表すようになります。例えば、
They made some oranges into jam.
「彼らはオレンジからジャムを作った」
のように書けば、オレンジがジャムという状態に変化したことを表します。
offのコアイメージ
offのコアイメージは「離れて」です。
語源的には”of”から派生したということを知っておくと便利です。その証拠にofには「分離のof」(ex. The man robbed John of his watch.)と言われるものがありますよね。同様にoffも「分離」の意味で用いられるので、その意味を引き継いでいると言えます。
例)He laid off 30 workers.
「彼は30人の労働者を一時解雇した」
さらに、電源が離れれば、それは電気が「切れる」(turn off)ことを表します。催しが開催という状態から途中で離れれば、それは「中止する」(call off)ことです。また、本来の予定から離れれば、それは「延期する」(put off)ことになります。
offは最終的に、何かが離れて行った結果として「完全に」分離するというイメージを持つようになります。これが「完全に、すっかり」(ex. pay off the debts)という完了の意味です。過去記事に出てきたupやoutにもこの完了の意味がありましたね。併せて確認しておきましょう。
1.You're reading too much into his words.
意味:彼の言葉を深読みしすぎだよ
目的語パターン:割り込み型
語彙解説
read...into~の意味を「~に...を読み取る」とだけ書いてある英和辞書が多いですが、これは正確ではありません。というのは、大抵の場合、「その読み取ったものは間違っている」というニュアンスで用いられるからです。この点は、英英辞典であれば分かりやすく書いてあります。例えば、LDCEには以下のような説明がされています。
to think that a situation, action etc has a meaning or importance that it does not really have
※私訳:「ある状況や行動などに対して、実際には含まれていないような意味や重要性を見出すこと」
このような点を踏まえると、read...into~の意味は「深読みして、~には...が含まれていると勘違いする」と考えておくべきでしょう。
また、read too much into~は「~を深読みしすぎる」という意味でそのまま使われます。
意味の捉え方・覚え方
意味的には以下のようにSVOCの第5文型と見なすと分かりやすいです。
つまり、「余りに多くのことを読むことで、それらを彼の言葉の中へ勝手に入れる」という感じですね。into his wordsは結果を表しています。
面白いのは、よくある辞書的な訳だと「読み取る」というように「取る」の意味が含まれているので、offの方が相応しいように見える点です。
この謎に関しては、さきの「実際には含まれていないような意味や重要性を見出す」という話を思い出してください。
実際には含まれていないからこそ(余分なものが)入っていく(= into)のです。元々含まれているのなら、わざわざ中に入っていく必要はありませんよね。だからoffではなく、into。
この点は次のread offとよく見比べてみてください。
2.Amanda looked at the thermometer and read the temperature off.
意味:アマンダは温度計を見て気温を読み取った
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
このread offは「(目盛りなど)を読み取る」の意。
意味の捉え方・覚え方
こちらは目的語を方位詞と入れ替え可能なので、read off the temperatureとも言えます。しかし、意味を捉える上ではoffを後ろにまわして、SVOCの第5文型として見なした方が分かりやすいです。
意味の句切れの位置は図のように考えるのがいいでしょう。つまり、「気温を読むことで、その気温を(温度計から)分離させる」という感じです。こちらもoff (the thermometer)が結果を表しています。offの後ろにはthe thermometerが隠れているという点も注意ですね。
ところで、例文2.がoffになるのはなぜでしょうか?
それは、読み取る対象が実際に存在するもの(見出し例文でいえばthe temperature)だからです。the temperatureは、例文1.のように深読みして勝手にくっつけたものではありませんよね。実際にないものは勝手にくっつけるのでinto、実際にあるものは文字通り読み「取る」のでoff。ここがポイントです。
3.Chloe read off the names of successful applicants.
意味:クロエは合格者の名前を読み上げた
目的語パターン:入れ替え可能型
語彙解説
このread off~は「(黙って、または声に出して)~を(最後まで)読む」の意。successful applicantsは「応募して合格した人」を指します。
意味の捉え方・覚え方
ここに出てくるoffは例文2.のものとは少し意味が異なります。というのは、これも実際に存在するものを読み取るという点では同じですが、コアイメージの所でご紹介した「完了」の意味も同時に含まれているからです。
この点を踏まえた上で、さきと同じようにSVOCの第5文型と捉えると分かりやすいです。
すると、この上図のように「合格者の名前を読んで、(名簿から)完全に分離する」という感じになります。これも意味の切れ目はoffの前で、off (the list)は結果を表しています。このように字面上は書いていなくとも、何から離れるのかは大体の場合、状況から推測できます。
さて、いかがだったでしょうか。
intoとoffの違いに見られるように、英語はイメージに結構忠実な面があります。
こういった違いが面白く感じられるようになれば、少しは英語学習も楽に感じるのではないでしょうか。
では、今日はこの辺で。
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