I need to look over my notes before the test. ってどんな意味?~look over その2~【句動詞表現#43】
こんばんは、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
前回の続きとなります。
記事タイトルのヒントは「試験前にやることといえば?」です。
では始めますね。
- 初めての方へ
- lookとoverのコアイメージ / 例文1~2について
- 3.I need to look over my notes before the test.
- 4.Don't try to look over a mistake like nothing ever happened.
- 5.You don’t have to look over every subject every day.
- 編集後記
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
lookとoverのコアイメージ / 例文1~2について
これらに関しては前回の記事をご覧ください。
3.I need to look over my notes before the test.
意味:テスト前に、授業のメモをざっと見ておかなくちゃ
目的語パターン:後置型
※例文の出典 Oxford Phrasal Verbs Dictionary
語彙解説
これが記事タイトルでの用法。このlook over...は「・・・にざっと目を通す、ざっと読む」の意です。
また、ここでのoverは、前回のコアイメージの箇所で挙げた「覆うように、一面に」の意。つまり、「全体的に」ということですね。
なお、noteはノートではなくメモのこと。
注意事項
多くの辞書では「look+前置詞over」の意味としてこの用法を記載していません。その場合は、他動詞用法のlook over(つまり、目的語位置を入れ替え可能なパターンのlook overのこと。次回扱います)の意味の一部として見なされているようです。
このような事情から察するに、「・・・にざっと目を通す」という意味でのlookは、自動詞と見なすか他動詞と見なすかの間で認識が揺れ動いている例といえます。つまり、使い分けが曖昧ということですね。
なお「look+前置詞over」の意味としてこの用法を挙げていることが確認できるのは、Oxford Phrasal Verbs Dictionary、『ジーニアス英和大辞典』です。
意味の捉え方・覚え方
これは前回の見出し例文2.で扱った「・・・を見渡す」からの派生的意味です。
つまり、
「本・書類などを見渡す」
⇒「本・書類などを全体的に見る」
⇒「本・書類などにざっと目を通す」
ということ。 場所などを見渡すときは、細部にこだわらずに全体的に見ますよね。「ざっと」というニュアンスはこの感覚を引き継いだものといえます。
4.Don't try to look over a mistake like nothing ever happened.
意味:何事もなかったかのように過ちを見過ごそうとするな
目的語パターン:後置型
語彙解説
このlook overは「①・・・を見逃す ②大目に見る」の意。 ただし、この意味でlook overを使うのは古風な言い方であり、現代英語ではoverlookを用いるのが普通。むしろこの意味でlook overを使うと、誤りだと見なされる可能性が高いので、使用は避けるべきでしょう(この注意喚起のために、この用例を載せました)。
また、「ever+過去形」は現在完了を表しています。したがって、nothing ever happenedの部分は、nothing has ever happenedと言い換え可能。この言い方は口語においてよく見られ、neverも同様の使われ方をすることがあります。
例)Did you ever think about that?
「そのことについて考えたことある?」
例)I never went inside.
「中に入ったことはないね」
なお、「ever+現在形」になると「現在の習慣」を表し、意味が異なるので注意。
例)Do you ever think about that?
「そのことについて考えることある?」
意味の捉え方・覚え方
これも前回出てきた「・・・を見渡す」からの派生的意味でしょう。
というのは、見出し例文3.のところでも言ったように、場所などを見渡すとき普通は細部にこだわらずに全体的に見ます。これは逆に言えば、細かいところは見逃しているということ。これが意味の①になります。
さらに、通常「見逃す」というのは悪い意味ですが、これを良い意味で捉え直すと②の「大目に見る」という意味が出てきます。
5.You don’t have to look over every subject every day.
意味:毎日、全科目を復習する必要はありません
目的語パターン:後置型
語彙解説
このlook overは「(学科など)を復習する」の意。
ただし実例を見た限りでは、この意味でのlook overはマイナーな使い方で、多くの場合はreview...やgo over...などを用いるようです。
意味の捉え方・覚え方
これは、見出し例文3.の「・・・にざっと目を通す」からの派生と考えられます。
具体的には、用例3.の意味用法から「ざっと」のニュアンス、つまり「細かいところにこだわらずに」という意味合いを薄めた結果として出てくるのがこの用例5.です。
「でも、どこから『繰り返し』のニュアンスはどこから来たの?」
この疑問に対するポイントは2つ。
まず一つ目。この用法でのlook overの目的語位置は後置型なので、方位詞overは前置詞用法だという点。そして二つ目は、この前置詞用法のoverには一般に「繰り返し」の意味はないとされている点です。
ここから推測されるのは、前置詞用法overの意味のどれかが意訳された結果「繰り返し」のニュアンスがあるように見えるだけではないのかということです。
つまり、直訳的な意味では「・・・に目を通す、通読する」程度の意味しかないが、その表現が使われるのが「授業後」を示唆するような文脈であるために、結果として「・・・を繰り返し勉強する、復習する」という日本語訳がピッタリくるだけではないでしょうか。
なお、「overは前置詞ではなく副詞用法ではないのか」という疑問に対しては、次のような観点が有効と思われます。
方位詞が副詞になる場合には「動詞+目的語+副詞」も「動詞+副詞+目的語」もOKな場合がほとんどで、「動詞+副詞+目的語」のみの語順になるのは大体、固定表現になっている場合です(例:get up speed)。したがって、英和辞典を見る限りで「動詞+目的語+副詞」の語順が許容されていないと考えられるこの意味用法においては、overは副詞ではないでしょう。よってoverは前置詞と見なせます。
編集後記
いかがだったでしょうか。
また余分なことをつらつら書いていたら終わりませんでした・・・。
おそらくlook overについては次回が最後になります(←続くのかよ)。
では、また次回。
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