die away/die down/die outの違いって?【句動詞表現#35】
どうも、ねこらいたーです (= ̄ω ̄=)
今回は、形も意味も似ている句動詞3つを見ていきます。
では始めましょう。
- 初めての方へ
- die・away・down・outのコアイメージは?
- 1.The footsteps grew fainter and finally died away.
- 2.I waited for the laughter to die down before I spoke.
- 3.How did the dinosaurs die out?
- 4.Old traditions are dying out.
- 5.The rain is dying out.
初めての方へ
当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。
また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。
①:割り込み型
動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません。
例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」
②:後置型
必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン
例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」
例2)get up to London「ロンドンに行く」
③:準後置型
方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”準”後置型」としてあります。
例)put on weight 「体重が増える」
④:入れ替え可能型
文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン
例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」
⑤:不要型
いわゆる「自動詞+副詞」のパターン。このパターンでは、意味を成立させるのに目的語を必要としません。
例)break up「(関係・友情などが)終わる」
【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
die・away・down・outのコアイメージは?
dieのコアイメージ
dieのコアイメージは、文字通り「生物が死ぬ」です。
そこから転じて、「生物以外のモノや事象が存在しなくなる・消える」という意味が派生しました。今回の記事ではこの意味が出てきます。
例1)The smile died on his face.
「彼の顔から笑みが消えた」
例2)My desktop computer died yesterday.
「昨日、私のパソコンが壊れました」
awayのコアイメージ
awayのコアイメージは意味そのままに「もとの場所から遠くに離れて」となります。
誰かが離れていく様子を見ていると、だんだんとその人の姿は小さくなりますよね。そして仕舞いには視界から消えてしまいます。このイメージから「しだいに消えて[弱まって]」という意味が出てきます。今回出てくるのはこの意味です。
downのコアイメージ
downのコアイメージは文字通り「下降」です。このイメージは下への運動・移動という物理的な下降だけでなく、時代が下ることや気分が落ち込むことなどの時間的・精神的な下降も表します。
今回出てくるのは、「減る、減らす」という意味のdown。これは、数・量・勢いなどが「下がる」というところから来ている用法ですね。
例)cut down expenses
「経費を削減する」
例)calm down
「落ち着く」
outのコアイメージ
outのコアイメージは「中から外に出る」です。コアイメージ自体は単純ですが、視点を変えることで様々な意味が派生するのがこの方位詞outです。
例えば、中身の見えない物の中からボールが外側に出て来たとき、それを外側から見れば、ボールが「出現」(= come out)したように見えます。出現すれば、その正体が何なのか「判明」(= turn out)し、「理解」(= figure out)できますますね。また、物ではなく現象や出来事が出現すると考えれば、それはすなわち、「事が始まる」(= break out)ということになります。
一方、視点を内側に移せば、ボールが外に出て行ったということは、元々は中にあったボールが「なくなる」(= run out)ということです。
そして、そのまま何個ものボールが出ていくと中は、「完全に」(=be worn out, clean out)空っぽになりますね。今回出てくるのも、この意味です。
1.The footsteps grew fainter and finally died away.
意味:その足音は次第に遠くなり、しまいには聞こえなくなった
目的語パターン:不要型
語彙解説
die awayとは「①(音・光など)が次第に弱まって消える ②(雨・風など)が次第に弱まって止む ③(気持ちや感情など)が次第に弱まって無くなる」の意。見出しの例文は①の意味で使われています。
また、grow faintは「(光・音などが)弱まる」という意味。今回はその比較級fainterが用いられています。
意味の捉え方・覚え方
第1文型に修飾語MがついたSVMとして考えるのがいいでしょう。つまり、
しだいに(= away)消える(= die)
ということ。
修飾語Mであるawayが、どのようにdieするのかその様子を表しています。
辞書を見ると、意味を一つにまとめているものが多いようですが、これは分けて考えた方が分かりやすいと思います。というのは、分けて考えることで逆にこの句動詞の本質が見えてくるからです。
まず②の「雨や風が弱くなる」というのは、それらの見た目や音が弱くなるということなので、明らかに①の派生です。
では、③とのつながりはどう考えればいいのでしょうか?感情や気持ちと光・音・雨などは関係ないように見えますよね。
しかし、よく考えてみると、「何かが弱くなって消える、なくなる」ということは視覚や聴覚で感じられなくなることなのです。つまり、認識できなくなることですね。
とすれば、③の意味が出てくるのも納得ですよね。だって、③の意味は気持ちや感情を感じられなくなることなんですから。
以上から、この句動詞die awayの本質は「(特に視覚・聴覚で)感じられなくなる」と考えておけば良さそうですね。
他の用例
例)The gossip died away.
「その噂話は次第に耳にしなくなった」
この用例は一見して上記の使い方と異なるように見えますが、実は、和訳から分かるように噂は聴覚(または視覚)で認識するものなので、この用例も「(特に視覚・聴覚で)感じられなくなる」ことの一例にすぎません。
2.I waited for the laughter to die down before I spoke.
意味:笑い声がおさまるまで待ってからしゃべった
目的語パターン:不要型
※例文の出典:Macmillan English Dictionary Online
語彙解説
die downとは「①(音や光、火など)が次第に勢いを無くす ②(風・雨・嵐など)が次第に勢いを無くす、おさまる ③(気持ち・感情など)が次第に勢いを無くす、おさまる」の意。
また、”wait for+目的語+to do”は「~が・・・するのを待つ」の意味です。
意味の捉え方・覚え方
見出し例文1.とよく似ていますが、微妙に意味が異なります。これは、英英辞典でないとわかりづらい違いです。ここでは、Oxford Phrasal Verbs Dictionaryの説明を引いて両者の違いを確認します。
まず、die awayの①の意味は次のように説明されています。
to become so faint or weak that you can no longer hear it
(出典:Oxford Phrasal Verbs Dictionary)
一方、die downの①の説明は下のようになっています。
to gradually become less loud or stong
(出典:Oxford Phrasal Verbs Dictionary)
まとめますと、両者の違いは、
die away = 「最後には存在自体が(ほぼ)なくなる」
die down=「無くなるのは勢いであって、存在自体がなくなるわけではない」
となります。したがって、die downのdownは勢いの低下を表しているわけです。
ここの違いさえ押さえれば、基本的な使い方は同じです。
このことは、見出し例文を見ても分かります。しゃべるのに際し、完全に笑いがおさまっている必要はないのです。ある程度さえおさまれば話は聞こえますよね。
3.How did the dinosaurs die out?
意味:なぜ恐竜は絶滅したのか
目的語パターン:不要型
語彙解説
このdie outは「(家系・種族など)が絶滅する」の意。
意味の捉え方・覚え方
コアイメージの箇所でご紹介したように、この句動詞で使われているoutは「完全に」という意味です。
したがって、die outとは「完全に死ぬ」あるいは「死んで完全に無くなる」ということです。だからこそ、これに該当する日本語が「絶滅する」になるのです。
4.Old traditions are dying out.
意味:古い慣習というものは廃れつつある
目的語パターン:不要型
語彙解説
このdie outは「(風習など)が廃れる」の意。
意味の捉え方・覚え方
これは、例文3.の意味からの派生。「生物の死」から、「風習の死」へと比喩的な転用です。この比喩は分かりやすいですね。
5.The rain is dying out.
意味:雨が止みかけている
目的語パターン:不要型
語彙解説
このdie outは上記のdie awayとほぼ同じ意味。違いは「次第に」というニュアンスがなく「完全に止む」という意味しか表さない点です。
意味の捉え方・覚え方
これも例文3.の「生物の完全な死(=絶滅)」から比喩的に転用されて「事象の完全な死」つまり「ある事象が完全に無くなること」を意味するようになったのでしょう。
さて、いかがでしたか?
似ているようで結構違う、この3つの句動詞。コツは掴めたでしょうか。
今日はここまでです。
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