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Tom isn't as bad as his teacher makes him out to be. ってどんな意味?【句動詞表現#28】

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どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)

 

 今回は用法の多いmake out。

 

ちょっと大変ですが、覚えていきましょう。

 

では、さっそく。

 

 

 

 

初めての方へ

当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。

 

また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。

 

①:割り込み型

動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません

 

例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」

 

②:後置型

必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン

 

例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」

例2)get up to London「ロンドンに行く」

 

③:後置型

方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”後置型」としてあります。

 

例)put on weight 「体重が増える」

 

④:入れ替え可能型

文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン

 

例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」

 

⑤:不要型

いわゆる「自動詞+副詞」のパターンこのパターンでは、意味を成立させるのに的語を必要としません

 

例)break up「(関係・友情などが)終わる」

 

【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

makeとoutのコアイメージは?

makeのコアイメージ

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makeのコアイメージは「こねて何かを作り出す」です。無から有を生み出すイメージのあるcreateと異なり、既にある何かを別の何かに作り替えるというイメージがmakeの根底にあります。

 

実際、『ジーニアス英和大辞典』のmakeの項目には次のような記述があります。

 

「こねてパン・家などを作る」が原義

 

 

この原義をそのままコアイメージとして考えておくと覚えやすいですね。

 

outのコアイメージ

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 outのコアイメージは「中から外に出る」です。コアイメージ自体は単純ですが、視点を変えることで様々な意味が派生するのがこの方位詞outです。

 

例えば、中身の見えない物の中からボールが外側に出て来たとき、それを外側から見れば、ボールが「出現」(= come out)したように見えます。出現すれば、その正体が何なのか判明」(= turn out)し、「理解」(= figure out)できますますね。また、物ではなく現象や出来事が出現すると考えれば、それはすなわち、「事が始まる」(= break out)ということになります。

 

一方、視点を内側に移せば、ボールが外に出て行ったということは、元々は中にあったボールが「なくなる」(= run out)ということです。そのまま、何個ものボールが出ていくと中は、「完全に」(=be worn out, clean out)空っぽになります。

 

 

1.Who shall I make the cheque out to?

意味:小切手のお宛名はいかが致しましょう?

目的語パターン:入れ替え可能型

 

語彙解説 

このmake outは「①(用紙など)に記入する; ②(書類など)を作成する」の意。ゴリゴリの直訳だと、見出し例文は「誰宛に小切手を作成しましょうか?」となります。また、chequeとはcheckのことで、イギリス式の言い方。

 

意味の捉え方・覚え方

まず確認しておきたいのは、句動詞make outの起源はこの例文1.の意味であることです。Merriam-Websterのオンライン版には以下の記述があります。

 

First Known Use of make out
15th century, in the meaning defined at transitive sense 1

※出典は以下のページ

www.merriam-webster.com

 

 これによれば、15世紀に他動詞用法1.の意味で使われたのが最初とのこと。そして、この"他動詞用法1."の意味というのが上記に挙げた「(用紙など)に記入する」に該当するんです。

 

そして、記入するのがただの用紙ではなく書類であれば、それは、書類を作成することに等しいですから、②の意味は①から派生したと推測できますね。

 

では、①の意味はどこから来たかというと、いくつか考えられますが、「何かを作って完成させる」ことに由来すると見なすのが単純で分かりやすいと思います。

 

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このmake outの「out」は、コアイメージの説明で出てきた"be worn out"や"clean out”のoutと同じで、「完全に、徹底的に」といった意味だと考えられます。

 

したがって、見出し例文は

 

「(必要事項を記入して、)小切手を完成した状態にする」⇒「小切手を作成する」⇒「小切手意を切る」

 

という流れで理解できます。

 

ちなみにですが、そもそもなぜoutに「完成して」という意味があるのかというところまで遡りますと、おそらくは"make something out of something"という形に由来するのでしょう。

 

これ自体の意味は「何かから別の何かを作り出す」ということですが、何かを作って人に出したり、世の中に発表したりするには、まず大前提としてその「何か」が完成している必要がありますよね。もしも未完成のままで出せば、人に見向きもされないか、あるいは不評を買うことになるからです。

 

こういった事情から「作り出すというからには、完成しているはずだ」という意識が働いたと考えられます。

 

 

2.I can't make it out at all.

 意味:それについては全く理解できない

目的語パターン:入れ替え可能型

 

語彙解説

このmake outは「①(人や考えなど)をどうにか理解する」の意。通常は、canまたはcouldを伴い否定文・疑問文にて用いられるようです。受動態不可。また、not... at allは「全く・・・ない」という意味。

 

意味の捉え方・覚え方

これはよく見る表現である"make sense out of..."(「…を理解する」)の省略表現と考えれば分かりやすいです。つまり、make sense out of somethingという形からsenseとofが消失しmake out somethingとなったと理解すればOKでしょう。

 

自動詞用法

このmake outには自動詞用法もありますので併せて覚えておきましょう。特に、以下の例文にあるようなas far as I can make outという表現にて使われるようです。

 

例)As far as I can make out, Ann is a kind person.

「私が知る限り、アンはいい人だよ」 

 

 

3.I couldn't make out what she was saying.

意味:彼女が何を言っているのか聞き取れなかった

目的語パターン:入れ替え可能型

 

語彙解説

このmake outは「①(物)をなんとか聞き分ける[見分ける]; ②文字を判読する」の意。受動態不可。これも通常は、canまたはcouldを伴い否定文・疑問文にて用いられるようです。

 

また、一応、目的語パターンは入れ替え可能型ではありますが、make+目的語+outという語順ではあまり用いられないようです。

 

これは恐らく、見出し例文のように、目的語が節であったりすると必然的に長くなるため、文末にoutを置いてmake what she was saying outと書いてしまうと、このoutがつながっているのがmakeなのか、それとも直前にあるsayingとつながっているのか分かりにくくなるからというのが一番の理由でしょう。

 

意味の捉え方・覚え方

例文2.の意味用法を拡大したものと考えるのが一番分かりやすいです。つまり、「頭で考えて分かる」(= understand)のが例文2.の意味用法で、「五感で分かる」(= distinguish, can tell)のが例文3.の意味用法ということになります。

 

 

4.Tom isn't as bad as his teacher makes him out to be.

意味:トムは彼の担任が言っているほど悪いやつじゃないよ

目的語パターン:割り込み型

 

語彙解説

これが記事タイトル。このmake outは、make+目的語+out+(to be) Cという形をとって・・・を~のように言い張る[見せかける、うそぶく]」の意。

 

また、make out (that) S+Vというように直後にthat節をとることもあります。

 

例)The murderer made out that he was innocent.

「その殺人犯は、自分は無実であると言い張った」

 

なお、見出し例文は次の2文を比較級原級as...as~で繋げたものです。

 

Tom isn't bad. + His teacher makes him out to be bad.

 

意味の捉え方・覚え方

 ”make a mountain out of a molehill”(「針小棒大に言う」)という成句を起点にして考えると分かりやすいです。

 

この成句は直訳すると「モグラ塚から山を作り出す」となりますが、そんなことは実際にはまず無理ですよね。全くあり得ない話ではないかもしれませんが、普通に考えれば無理な話です。モグラ塚の範囲にある土を全て使って盛っても、せいぜい丘程度の大きさにしかならないのではないでしょうか。つまり、おおげさに言っているということ。だからこそ、この成句の意味は「針小棒大に言う」となるのでしょう。

 

これと同じようにしてmake outの意味用法を考えれば、

 

「普通ではまずあり得ないような話を作り出す」⇒「・・・だと言い張る、見せかける、うそぶく」

 

 と理解することができます。

 

そういえば、make upにも「(話や嘘など)をでっちあげる」という意味がありましたね。これとセットにして覚えておけば忘れにくいと思います。

 

 

5.How do you make that out?

意味:①なぜそういう結論になるのですか? ②どうやってそれを証明しますか?

目的語パターン:入れ替え可能型

 

語彙解説

このmake outは「①・・・と結論する; ②・・・を証明する」の意。受動態不可

 

この意味でmake outを用いるのは、見出し例文のような疑問文かあるいは次の見出し例文6.ような成句に限ると考えてよさそうです。

 

意味の捉え方・覚え方

この意味用法は見出し例文2.の「どうにか理解する」という意味から派生したと考えればOKでしょう。つまり、

 

「どうやってそれを理解しますか?」⇒「それをどう解釈しますか?」⇒「どうやってそういう結論になるのですか?」

 

という流れとして考えれば分かりやすいと思います。

 

なお、②の意味は①から派生したと考えられます。

 

 

6.We have to make out a case for providing funds for the project.

意味:その事業に資金提供する正当性を立証しなくてはならない

 

語彙解説

make out a caseとは「自分の主張の正しさを証明する」の意。caseというのは「証拠」の意味です。つまり、直訳は「証拠を作り出す」となりますね。

 

また、直後に「for+名詞[動名詞]」あるいはthat節を伴う場合もあります。『ジーニアス英和大辞典』によれば、そのようにforやthat節を従える場合には”make out the case for[that節]”となることもあるようです。これは、前置詞句や節によってcaseが「何に対する証拠なのか」という限定を受けるからでしょう。

 

意味の捉え方・覚え方

上述したように、直訳すると「証拠を作り出す」となります。証拠を出すということは証明という行為の一部ですから、この直訳から「自分の主張の正しさを証明する」という意味へとイメージをつなげるのは、それほど難しくはないでしょう。

 

 

7.How are you making out ?

意味:進捗どうですか?

目的語パターン:不要型

 

語彙解説

このmake outは「①うまくいく、やっていく ②暮らす」の意で自動詞用法。したがって、必然的に目的語パターンは不要型です。直訳は「どれくらいうまくいっていますか?」となります。

 

意味の捉え方・覚え方

②の意味は①の派生と推測されますが、では①の意味はどこから来たのでしょうか?

 

これも成句が元になっていると考えると”うまくいきます”。

 

例えば、make money out of...という成句。これは「・・・で儲ける」という意味ですが、儲かるということは「物事がうまくいっている」ということですよね。

 

あとはカンタン。このブログでは何度も言っていることですが、英語表現においては、言わなくても誰もが分かるような名詞は消えていく傾向にあります。その結果できるのが自動詞用法です。例えば、”leave for~”(「~へ向かって出発する」)は自動詞用法ですが、これは元々は他動詞用法のleaveが用いられている”leave the place for~”(「その場所を離れて~へ向かって出発する」)という表現からthe placeが消失した結果できたものと見なすことができます。

 

ですので、今回もこれと同様に考えて、moneyとof以下を削除すれば自動詞用法のmake outになりますね。

 

ほかには、make a good thing out of...という成句で考えても流れはほぼ同じ。これはジーニアス大辞典によれば「〈状況・性格など〉をうまく利用する;〈趣味など〉で利益を得る」という意味ですが、この2つの意味はどちらもうまくいっていることを示していますよね。あとはa good thingとof以下を削除すればmake outになります。

 

他の用例

例1)Did you make out all right?

「うまくいった?」

 

例2)How did you make out with the driving test?

「運転免許試験はどうだった[うまくいった]?」※withの使い方には注目です

 

 

8. I saw you making out with John yesterday.

意味:昨日、ジョンといちゃついてるの見たよ

目的語パターン:後置型

 

語彙解説

make out with...とは「①(異性)とうまくやる; ②(異性)といちゃつく」の意。この表現はhave a sex with...の遠回し表現にもなるので使い方には注意が必要です。

 

意味の捉え方・覚え方

これは、明らかに例文7.の意味用法「うまくいく」を拡大解釈したものでしょう。単に、うまくいく対象が物事から異性になっただけです。

 

 

 

 

 

さて、いかがだったでしょうか。

 

思いのほか、長くなりました(←いつも言っている気が・・・笑)。

 

意味自体は使えそうな表現なので、ぜひ実際に使って習得したいところですね。

 

ではまた。

 

 

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