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She put it across James. ってどんな意味?【句動詞表現#15】

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こんにちは、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)

 

今回取り上げるput acrossですが、これはまとめて攻略!get across【句動詞表現#10】で出てきたget acrossの類義語です。

 

しかし、こちらのput acrossはよくない意味でも使うので、しっかりと区別しましょう。

 

それでは、始めます。

 

 

 

初めての方へ

当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。

 

また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。

 

①:割り込み型

動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません

 

例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」

 

②:後置型

必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン

 

例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」

例2)get up to London「ロンドンに行く」

 

③:後置型

方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”後置型」としてあります。

 

例)put on weight 「体重が増える」

 

④:入れ替え可能型

文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン

 

例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」

 

⑤:不要型

いわゆる「自動詞+副詞」のパターンこのパターンでは、意味を成立させるのに的語を必要としません

 

例)break up「(関係・友情などが)終わる」

 

【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

putとacrossのコアイメージは?

putのコアイメージ

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putのコアイメージは「何かをある状態にして位置させる」です。putというと、「置く」という訳をつい思い浮かべてしまいますが、その訳で考えるには限界があります。

 

というのは、putの後には、単にモノを配置する場所だけでなく物の状態を表す表現もくるからです。例えば、put a book on the tableは「本を机に置く」でも問題ないですが、put the sentence into English(「その文を英語に翻訳する」)やput the thread through(「糸を通す」)という文になると、単に「置く」というイメージでは対応できないでしょう。

 

このように、putは基本的に第5文型の動詞と考えてOKです。したがって必然的に、putは「OをCに状態にさせる」という意味である"make O C"や"get O C"などとよく似た仲間だといえますね。 

 

acrossのコアイメージ

acrossのコアイメージは「横切る」です。

across コアイメージ

acrossのコアイメージ

横切るといっても、上を通過するように横切る或いは乗り越えるようにして横切るというイメージがあるoverとは異なり(下図参照)、acrossの場合は直線的に横切るなので、区別しておきましょう。

over コアイメージ

overのコアイメージ

 

1.We put them across the river.

意味:私たちは彼らを川の向こうに渡らせた 

目的語パターン:割り込み型

 

このput ...across~は「(橋など)を~にかける;(人や物)を~の向こうに渡らせる」の意。

 

訳が2つに分かれていますが、根本は同じです。つまり、上述のputとacrossのコアイメージを足し算した「人や物を、何かを横切った状態にして位置させる」というのがput acrossの基本イメージ。これを分かり易くすると上記のような訳になるというだけなんです。

 

訳から分かるように、SVOCとして考えればOKです。

 

 

2. John easily put his point across.

意味:ジョンは自分の言いたいことをすんなりと理解してもらえた

目的語パターン:入れ替え可能型

 

このput...across~は「(考え・感情など)を~に上手く伝える」という意味。意味としては、【句動詞表現#10】の例文5.でご紹介した文”You need to get across your idea.”のget...acrossとほぼ同じです。

 

こちらもget across同様にメタファー(隠喩)になっていますね。つまり、人や物など具体的なものが川・道など物理的な場所を渡るという意味から、言葉・考えなど抽象的なものが人と人の間を渡って相手まで届くという意味へと発展したと考えれば分かりやすいでしょう。

 

また、このput...acrossもget acrossのように次の形をとれます。

 

John easily put across his point.

「ジョンは自分の言いたいことをすんなりと理解してもらえた」

 

John easily put across his point to everyone.・・・*

「ジョンは自分の言いたいことを皆にすんなりと理解してもらえた」

 

意味を捉えるには、目的語をputの直後に置いたSVOCとして考えればOK。例えば、すぐ上の*の文であれば、

 

John easily put his point across to everyone.

 

とacrossの位置を変えたうえで、OCの部分に「his pointが何かをacrossしてeveryoneに届く」という主語述語関係が隠されていることを意識すれば分かり易くなります。

 

何かを理解させるとき、最初は相手がこちらの言いたいことを理解していないという点で、理解してほしい側と理解させられる側とでは、「大きな溝」があるわけです。このような溝をacrossして最終的に相手に理解してもらうというイメージがおそらくあるのでしょう。

 

 

3.Jessica puts herself across well.

意味:ジェシカは自分の言いたいことを伝えるのが上手い

目的語パターン:割り込み型

 

これは例文2.の意味用法と同じですが、put oneself acrossという形で固定された言い方です。

 

ポイントはoneselfが「自分の言いたいこと、考え」を表す点。次のoneselfと同じ用法です。

 

She was able to make herself understood.

「彼女は自分の言いたいことを分かってもらえた」

 

 

4.She put it across James.

意味:彼女はジェームズを騙した

目的語パターン:割り込み型

 

これが記事のタイトル。イギリス英語「(人)につけこむ、(人)を騙す」を意味する固定表現(成句)です

 

注意すべきは、目的語"it"の部分をone, this, that, somethingなどに変えたパターンも存在する点です(ただし意味は同じ)。

 

この目的語は恐らく、言葉や行動を意味しているのでしょう。

 

ところで、相手に理解してもらうだけなら、例文2.のところで見たようにShe put it across to James.となるはずですよね。しかし、toが消えているということは相手が最終目標ではないということ、つまり、相手にこちらの言葉を理解させることは単なる手段・通過点であって、最終目標ではないということなのでしょう。

 

実際、例文2.のところでご紹介した”John easily put his point across to everyone.”という文ですが、「まんまと理解させる、信じ込ませる」という悪い意味で用いる場合があって、その場合にはtoが消えてacrossが前置詞用法として用いられることが多いようなのです。つまり、John easily put his point across everyone.という形になります。

 

では、最終目標と何かと言えば、例えば、相手を騙して金をせしめることなどが考えられます。したがって、この見出しの例文は例えば、

 

She put it across James for her own sake.

※for one's own sake「・・・の利益のために」

 

というように、「itを、ジェームズを踏み台にして、自分の目的へ向かわせる」といったニュアンスが含意されているのかもしれません。

 

 

5.Ann knows how to put a song across.

 意味:アンは歌の歌い方というものを心得ている

 目的語パターン:入れ替え可能型

 

このput acrossは「(歌・曲など)をうまく歌う、うまく演奏する」の意。例文2.の意味用法を拡大したものだと解釈できます。つまり、

 

「歌・曲などを上手く人に伝える」⇒「歌・曲などを歌う或いは演奏するのが上手い」

 

というつながりなのでしょう。面白い表現です^^

 

 

 

 

 

 

さて、いかがでしたか?

 

色々な意味がありましたが、put acrossは悪い意味でも用いるので注意しないといけませんね!単に上手く伝わったと言いたいときは、get acrossを用いた方が無難かもしれません。

 

では、また。

 

 

 

 

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