気ままに英語あそび

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We took to running in the early morning. ってどんな意味?【句動詞表現#9】

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どうも、ねこらいたーです

 

今回は句動詞take to...について。

 

実質的に、前回の【句動詞表現#8】のつづきです。なお、【句動詞表現#7】で扱ったtake to +場所の意味用法は古めの意味用法なようなので今回は省きます。

 

 

 前回のカンタンなまとめ

ポイント1.

take to...はコミュニケーション円滑化のために何かの単語が省略・消失した結果できたものと考え、元の形はtake oneself to...と推測

 

ポイント2.

take to...の後にモノ・行為が来る場合には、上記のoneselfは自分の意識を表していると捉え、「自分の意識をto以下のモノ・行為まで連れて行く」⇒「to以下のモノ・行為に意識が行く」というような流れで考えると分かりやすい

 

詳細は、以下を参照ください。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

初めての方へ

当ブログでは、いわゆる前置詞と空間を表す副詞をまとめて方位詞と呼んでいます。

 

また、このブログでは、句動詞を紹介するときに、その目的語の位置を次のようにパターン化してご紹介しています。

 

①:割り込み型

動詞と方位詞を必ず離してその間に目的語を割り込ませるパターン。目的語と方位詞の位置を入れ替えることはできません

 

例)get John up 「ジョンを起こす」「ジョンを立たせる」

 

②:後置型

必ず方位詞の直後に目的語を置くパターン

 

例1)get up a ladder 「ハシゴを登る」

例2)get up to London「ロンドンに行く」

 

③:後置型

方位詞の直後に目的語を置くのが普通なパターン。パターン②ほど目的語の位置は絶対的ではないので「”後置型」としてあります。

 

例)put on weight 「体重が増える」

 

④:入れ替え可能型

文字通り方向詞と目的語を入れ替えできるパターン

 

例)put the coat on(またはon the coat) 「上着を着る」

 

⑤:不要型

いわゆる「自動詞+副詞」のパターンこのパターンでは、意味を成立させるのに的語を必要としません

 

例)break up「(関係・友情などが)終わる」

 

【句動詞表現#2】では、ムダに細かく考察しています。より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

1.Jessica took to him at first sight.

 意味:ジェシカは彼に一目惚れした

目的語パターン:後置型

 

このtake to...は「(人・モノ)を(すぐに)好きになる」という意味で、比較的短時間で好きになるというニュアンスが含まれる表現。形の上では目的語の位置は後置型ですので実際にはtakeと方位詞toの間には何も入りませんが、意味を覚える上ではJessica took herself to himと補って、

 

自分の意識を彼のところまで連れて行く ⇒ 意識が彼にいってしまう ⇒彼を意識してしまう ⇒ 彼を好きになる

 

という流れで考えれば分かりやすいでしょう。

 

 

2.We took to running in the early morning. 

意味:僕ら、早朝ランニングを始めたんだ

目的語パターン:後置型

 

これが記事タイトルの英文。このtake to...は「習慣として・・・を始める」という意味です。これも同様にwe took ourselves to runningと補って、

 

私達の意識をランニングという行為まで連れて行く ⇒ ランニングという行為に意識が行く ⇒ ランニングを始める

 

という流れで捉えると理解しやすくなります。何かを習慣として始めるには、何をしようか?・いつしようか?・誰としようか?などをまず考えますよね。考えるということは意識しているということ。だからこそ、「~を意識する」 ⇒ 「~を始める」という流れができるのです。

 

 

3.Emily's taken to teaching English like a duck to water.

 意味:エミリーはすぐ英語を教えることに慣れた

目的語パターン:後置型

 

 take to something like a duck to waterは「・・・にすぐ慣れる」「ごく自然に・・・に慣れる」という意の表現で、前回の【句動詞表現#8】で出てきた表現ですね。「's」はhasの省略形。

 

なぜ「・・・に慣れる」という意味になるのかについてはもう大丈夫でしょう。何かにずっと意識を向けていれば、それは慣れるということにも繋がりますよね。

 

後半部分はlike a duck takes to waterと補って考えると分かりやすいです。つまり、

 

ヒル(またはカモ)が水に慣れるのと同じように・・・に慣れる ⇒ すぐに・・・に慣れる、ごく自然に・・・に慣れる 

 

 という流れです。ここから分かるように、「すぐに、ごく自然に」という意味はlike a duck to waterという比喩表現を意訳したもの。

 

また、この意味で用いるtake to...には注意点があります。それは、「すぐに慣れる・ごく自然に慣れる」ということが読み取れる文脈・状況がないと、上記の例文1.または2.の解釈が優先されるという点です。

 

したがって、この意味であることを明確にしたい場合には、見出しの例文のようにlike a duck to waterという比喩表現とともに用いるか、 very quickly・very naturallyなどの直接的表現を用いることになります。

 

参考までに、Oxford Phrasal Verbs Dictionary では次のようにas ifを用いて文脈を明確にしている例文が載っているのでご紹介しておきます。

 

 He took to tennis as if he'd been playing all his life.

 

 ※私訳:「彼はまるでずっと前からやっていたかのように、すぐテニスが上達した」

 

 

4.He took to Twitter to insult some celebrities .

意味:彼はツイッターを使って有名人を侮辱した

目的語のパターン:後置型

 

このtake to..は「(暴力など)に訴える」の意で、要は、何かを手段として用いるということです。

 

意味の流れとしては、モノに意識を向けることから、「それを使う」という意味になり、さらに「手段として使う」という意味へ発展したのでしょう。

 

VOAからもう一つ用例を挙げておきます。

 

...even those who have taken to violence can come to the table and tell us and tell themselves why they want to resort to violence....

 

(VOA NEWS October 27, 2009)

私訳:「.....すでに暴力に出ている者さえも交渉のテーブルに着き、我々そして彼ら自身に向けて、暴力に訴えたいと思うその理由を話す機会を得られる.....」

 

 

5.He took to the video game like crazy last night.

 意味::彼、昨晩は狂ったようにそのゲームやってたよ

 目的語パターン:後置型

 

 このtake to...は「・・・に専念する、夢中になる」の意。何かに意識を強く向け続ければ、それは夢中になるということ。そのように考えればOKでしょう。

 

前回扱ったtake to the bottleなど依存症を表す表現も「夢中になる」という意味では同じですね。

 

この意味用法もlike crazy[mad]のような、何かに夢中であることを示唆する文脈・状況がないと、この意味で解釈される可能性は低いと考えた方がいいようです。

 

(以下、余談です)

 

句動詞に限った話ではありませんが、多義語というのは悪く言えば「曖昧」なわけです。これは「多義的な」という意のambiguousに「曖昧な」という辞書的な訳が割り当てられていることからも明らかですよね。

 

だからこそ句動詞のような多義語は、文脈や状況といったcontextを必要としているんです。多義語はいわば諸刃の剣。こういう意識は持っておかないと、「正しい英語を話している(あるいは書いている)はずなのに、なんで通じないの?!」という事態になりかねませんのでご注意を。

 

さらにいえば、学術論文において句動詞のようなカンタンな表現が避けられて一語動詞ばかりが使われるのも、ただ単に単語の格式が高いからといった理由ばかりでなく、そもそも句動詞は曖昧で、情報を正確かつ厳密に伝えるには適さないからという事情があるのはまず間違いないでしょう。ですので、このあたりの動詞の使い分けはしっかりと意識することが肝心といえます。

 

 

 

 

 

さて、今回はいかがでしたでしょうか。

 

冒頭でも言いましたが、今回の句動詞は前回扱った成句と同じ発想ですんなり理解することができますね。

 

では、また。

 

 

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