まとめて攻略!take to...その1~「take to one's bed」タイプ編~【句動詞表現#7】
どうも、ねこらいたーです(= ̄ω ̄=)
今回はtake to...について。
句動詞take to...を含む成句はかなりの数ありますが、2つの観点から考えると意外とすんなり理解できるんです。
始めに
以前【句動詞表現#5】では、言わなくても分かる言葉はコミュニケーションの円滑化のために省略され最終的に消失するという前提に立っていましたよね。今回のtake to...も同じ前提に立って考えていきます。
take to...は何が省略・消失したの?
これについては、皆さんも薄々お気づきでしょう。そう、oneselfが省略・消失していると考えるんです。つまり、
take oneself to...
となりますね。この形は学校英語でもよく出てきた「(人)を...まで連れて行く」という意味と同じと考えてOKです。
一応、この省略・消失という考え方が合っていそうなことを示唆する表現があります。それが次の表現です。
betake oneself to flight
ジーニアス英和大辞典によれば、この表現はtake (to) flight(「俗世間から抜け出る;逃走する」)と同じ意味をもつ古い文学的表現のようです。
また、Oxford Advanced Learner's Dictionary(OALD)のbetakeの項目にもにも以下のような説明があります。
[VN + adv. / prep.] (literary) ~yourself to go somewhere: He betook himself to his room.
キチンとgo somewhereの意味だという記述がありますね。ということは、現代英語にあるtake to...という句動詞やそれを含む成句は昔の英語であるbetake oneself to...の名残だということが言えそうです。
これを踏まえた上で、意味タイプを以下の2つに分けて考えます。
タイプ①:「take to one's bed」タイプ
タイプ②:「take to the bottle」タイプ
今回はこのうち、前者のタイプを扱います。
タイプ①:「take to one's bed」タイプ
このタイプは方位詞toのあとに場所を示す言葉が来るパターン。これは、さきほどのtake oneself to 場所という形から
自分自身を~に連れて行く ⇒ ~に行く
と考えてもいいですし、あるいはbetake oneself to...がgo somewhereの意味だったことをそのまま流用してもいいでしょう。
注意点としては、このタイプはただ単に「~に行く」という場所の移動を意味するのではなく、「病床に伏す」「逃亡する」など一般的に良くない意味を持つ表現が多いという点です。また、残念ながら「逃げる」などの場所の移動を含む表現はやや古いと見なされているようで、実際に使っているのはtake to one's bedとtake to the floorぐらいと考えておいた方が無難です。
●take to one's bed
意味:病床につく
ただ寝るためにベッドに行くのではなく、病に伏すことを意味します。
●take to the boats
意味:①(船が難破して)ボートに移る ②引き受けた仕事を放棄する
助かるためにボートの所に行くことから①の意味が生まれたと考えればOK。これは自分の命を守るための正当な逃亡ですが、②の意味は仕事を放棄するわけなので、不当な逃亡になりますね。
●take to the floor
意味:(ダンスパーティーやディスコなどで)ダンスを始める
このfloorとはdance floorのことでしょう。つまり、ダンスフロアに行くことはすなわちダンスをすることを意味しますね。
●take to the bush
意味:①奥地へ逃げる ②山賊になる
bushとは灌木(かんき)や低木のこと。またそれらが密集した「やぶ」も指すことから奥地の意味もあります。やたらに奥地なんて行きませんよね。行くとしたらそれは人目を避けるいうこと。そこから①の意味が発生したと思われます。そして、逃亡した先の奥地で徒党を組んで生活すると考えれば②の意味に発展します。
●take to the hills
意味:逃げる
上のbushと同じで、hillつまり丘・小山にも隠れられる所がありますね。したがって、丘・小山に行くということはすなわち逃げることとも見なせます。
●take to the woods
意味:①森に逃げ込む ②姿をくらます
これも同じ。森に行くということは隠れるということから①の意味になります。②は①の意味を比喩的に捉えたもの。
●take to the road
意味:①出発する ②旅に出る ③放浪生活を始める
道路に出るということはどこかへ向けて出発するということなので①の意味が生まれます。遠い目的地に向けて出発すると考え②の意味に発展。旅することが日常になれば③の意味にもなります。
●take to the streets
意味:①街頭に繰り出す ②デモ行進する
streetとはただの道ではなく町の中を通っている道のことなので、通りに出るとはつまり、街頭に出ること。これが①の意味。よく見ると、ただのstreetではなくstreetsというように複数形となっていることから、複数の通りに行くことがニュアンスとして読み取れます。ここから②の意味が発生したのでしょう。
●take (to) the stump
意味:遊説して回る
stumpとは切り株のことですが、ジーニアス英和辞典によればこの切り株を昔は演説時の台つまり演壇として用いていたようです。そこから考えて、演壇に行くの意味になり、さらに遊説するの意味へと発展したと思われます。
●take to the air
意味:①飛ぶ ②飛行機で旅行する ③飛行家になる
自分自身の体を大気中に連れて行くことから①「飛ぶ」の意になり、乗り物に乗って飛ぶことから②「飛行機で旅行する」の意に発展。さらに、飛行機で飛ぶことを職業にすれば③「飛行家になる」の意が生まれますね
●take to sea
意味:航海に出る
海に行くとしたらその目的は、泳ぐか釣りをするか船に乗るということになりますよね。そこから航海に出るという意味に発展したのでしょう。
今回はここまで。次回に続きます。
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